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On the Production
by 井口健二
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■第125回
このため今回の交渉でも、原作者とクルーニーとの話し合い
が最初に行われ、クルーニーが『グッドナイト&グッドラッ
ク』でアカデミー賞監督賞の候補になったことなどが、原作
者の関心を呼んでいたとされている。ということは、映画化
はクルーニーの出演よりも監督作として進められることにな
りそうだ。
 なお、クルーニーとWIPでは、これより前にジェームズ
・エルロイ原作の“White Jazz”の映画化の計画を発表して
おり、『ナーク』のジョー・カーナハン監督によるこの作品
は、2008年初旬の撮影が計画されている。従って今回の交渉
が成立しても、製作はその後になるようだ。
        *         *
 次もジョー・カーナハン監督の話題で、2003年の第49回で
1度紹介している1965年のオットー・プレミンジャー監督作
品“Bunny Lake Is Missing”(バニーレイクは行方不明)
のリメイク計画に、カーナハンの起用が発表された。
 この計画については、以前に紹介したようにリーズ・ウィ
ザースプーン主宰のタイプAから、彼女の主演作として発表
されているものだが、当時フォックスの社長を辞任したばか
りの製作者マーク・ゴードンが、独立後の最初の作品として
進めることも報告されていた。そしてその後は、2000年公開
の『クイルズ』などを手掛けたピュリッツァー賞受賞劇作家
ダグ・ライトが脚色を担当するなどして準備が進められてい
たものだ。
 物語は、1957年に発表されたイヴリン・パイパーの原作に
基づくもので、若い女性が、娘が行方不明になったと警察に
訴えるが、彼女に娘がいた形跡はなく、やがて彼女の証言も
怪しくなり始めて…というもの。同性愛者の登場人物なども
現れて、当時としては先進的な作品だったとされている。
 そして現状は、ライトがカーナハンの意向に沿って自らの
脚本をリライト中とのことで、監督は“White Jazz”の前の
撮影を希望しているようだ。製作は、スパイグラスとコロム
ビアの共同で進められている。
 なおカーナハンは、トム・クルーズによって『M:I3』
に大抜擢された後に降板するなどで話題になったが、最近で
は“Smokin' Ace”という作品の撮影を完了したばかりで、
さらに製作者のゴードンとは、マーク・ボーデン原作のノン
フィクション“Killing Pablo”という作品の準備も進めて
いるそうだ。
        *         *
 昨年の第96回で紹介したMGMからコロムビアへの移管企
画“21”に、2月撮影開始の予定が発表された。
 この作品は、マサチューセッツ工科大の学生がコンピュー
タを駆使してラスヴェガスのカジノに挑み、数100万ドルを
荒稼ぎしたという2002年発表のノンフィクション“Bringing
Down the House: The Inside Story of Six MIT Students
Who Took Vegas for Millions”の映画化で、大本はMGM
でブラット・ラトナー監督で進められていたが、監督が繁忙
になったために頓挫、権利がコロムビアに移管された。
 その後、ケヴィン・スペイシーが映画化を希望して、彼の
主宰するトリガー・ストリートプロダクションで製作を進め
てきたが、さすがのスペイシーも大学生の役とは行かず、そ
の配役と監督が検討されていた。そしてその学生役にジム・
スタージェスと、監督にはロバート・ルケティックの起用が
発表されている。
 因に、主演に起用されたスタージェスは、以前は“Mouth
to Mouth”というインディーズの作品に出演歴があるだけと
いうことだが、実は今年になってからジュリー・タイモア監
督の“Across the Universe”という作品にエヴァン・レイ
チェル・ウッドの相手役で主演した他、“The Other Boleyn
Girl”にも出演しているということで、正にブレイク中の
俳優のようだ。
 脚本は、“Be Cool”のピーター・スタインフェルドと、
アラン・ロウブが担当。なおスペイシーは、学生たちを指導
する大学教授の役を演じる。
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12月15日(金)
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