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On the Production
by 井口健二
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■ルワンダの涙、シルバー假面、妖怪奇談、素敵な夜ボクにください、僕は妹に恋をする、ルナハイツ2、パパにさよならできるまで
ルンペルシティルツヒェンやアドルフ・ヒトラーまで登場す
る、まさにごった煮の世界。それが実相寺演出で蘇る。
ただ僕としては、登場するキャラクターが余りに付け焼き刃
な感じで、それぞれの背景が掘り下げられていないのが残念
だったし、国産レヴェルのCGIで表現されるVFXにも、
ミニチュアとは違ったちゃちさが感じられて、なかなか物語
に入れなかった。でもまあ、そんなチープさが、ある意味こ
の作品の狙いなのかも知れない。
主演は、ニーナ、渡辺大、水橋研二。他の出演者には、石橋
蓮司(カリガリ博士)や嶋田久作、寺田農、ひし美ゆり子ら
の名前が並ぶ。
なお、本作は元々はDVDで販売する企画で進められた作品
だが、その販売に先立って劇場公開が行われるものだ。

『妖怪奇談』
『心中エレジー』『楽園−流されて−』などの亀井亨監督作
品。実は、亀井監督の前2作はホームページでは取り上げな
かった。第1作は、『樹の海』を見た直後に同じ自殺がテー
マでは余りに出来が違いすぎたし、第2作は、『流されて』
の題名が引っ掛かったものだ。
その監督の第3作となるものだが、今回はろくろっ首、カマ
イタチ、のっぺら坊という妖怪を描いて、前2作とはちょっ
と毛色の違った作品になっている。その3人は全て現代に生
きる女性で、それぞれが自分の運命に翻弄されるという展開
だが…
この3人の物語が、微妙に交錯して行く展開は、それなりに
工夫しているなという感じのものだ。ただ、この3人がそれ
ぞれそういう運命に陥る原因というか、切っ掛けが提示され
ないから、感情移入というものがほとんど出来ない。
前2作も一様に同じ感覚なのだが、監督は主人公たちを完全
に突き放して描いているようで、それが海外でも評価されて
いるようだから、それはそれでも良いのかも知れないが、僕
の感覚ではちょっと引っ掛かってしまうものだ。
実はそれぞれには、父親だけには良い子に見てもらいたいと
か、いろいろ世間に受け入れてもらえない事情があって、そ
れが怪現象引き起こす切っ掛けにもなっているようだ。その
辺を、もう1、2歩掘り下げると、結構良い作品になるよう
な気もするのだが…
出演は、伴杏里、宮光真理子、市川春樹。それぞれは人気も
あるようだから、それなりの観客は集めるかも知れないし、
そのファンたちには楽しめる作品にはなっている。また、ろ
くろっ首などのCGIには、こういうものがお手軽になった
なあという感じだ。
ただし、ヴィデオで撮影された画面の暗いのと色使いの変な
のが何とも困り物で、実は前2作もそうなのだが、一般的に
ヴィデオはもっと明るく撮れるものだし、色もいくらでも補
正が利くはずだが、それを敢えてしないのが監督の考え方の
ようだ。でも、これでは観客の目が疲れるばかりで、それ以
上の効果はあまりないように思えるのだが…

『素敵な夜、ボクにください』
東京国際映画祭のコンペティションに出品されたホン・サン
ス監督『浜辺の女』にも主演していたキム・スンウの出演作
で、題名の感じからもてっきり韓国映画かと思っていたら、
吹石一恵主演の日本映画だった。
しかも、青森が舞台のカーリングをテーマにした作品という
ことで、トリノオリンピックに出場したチーム青森の活躍を
描いたら、それは『シムソンズ』と同じになるのでは…と心
配したら、そこはチャンと別の物語になっていた。
キム・スンウが演じるのはカーリング韓国代表のスキップ、
4人で闘うチームの中では、本来はまとめ役のはずだが、多
少自己中心的な彼は仲間の意見も聞かずに大勝負に出て失敗
してしまう。そのため、遂に監督からはチームを出て行くよ
う言われてしまう。
そんな彼がふらふらやってきたのは日本。実は日本では彼に
そっくりな韓流スターが大人気だったのだが、そんなことは
知らず彼は街で駆け出し女優に声を掛け、彼女はスターと思
い込んでベッドを共にしてしまう。
その翌日、彼は早く部屋を出てしまい、そこには彼の忘れ物

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12月10日(日)
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