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On the Production
by 井口健二
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■守護神、エクステ、サンタクローズ3、ラッキーナンバー7、ハッピーフィート、イヌゴエ2、スキトモ、刺青
は大杉演じる髪フェチの男がいて、男は遺体に興味を持って
自宅に持ち帰ってしまう。
一方、栗山が演じるのは、とある美容室に勤めるヘアスタイ
リストの卵。彼女には、腹違いの姉がいて、粗暴な姉は我が
子に暴力を振るったり、妹の家の前に置き去りにしたり…、
そんな姉に振り回される生活を送っている。
そしてある日、彼女の勤める美容室に、髪フェチの男が素晴
らしい品質の付け毛(エクステ)を持って現れるが…
親による実子の虐待や、その前にはコンテナの遺体が内臓や
眼球を抜かれていて臓器密売の疑いが持たれるなど、現代的
な要素も次々に登場し、もちろん基本がホラーであるから興
味本位な扱いではあるのだけれど、現代を反映した物語作り
は良い感じだ。
それに大量の毛髪と言うのが、それ自体がかなり無気味で、
ホラーの設定としては面白く感じられた。
そして本作では、遺体の少女の怨念を宿した毛髪が、次々殺
人を犯して行くものだが、その展開や、その際のVFXも結
構見られるものになっていた。特に、大杉の末路は秀逸とも
言える。
正直に言って、『自殺サークル』の衝撃を期待して行くと、
今回大量なのは血糊ではなく毛髪だから、衝撃の点では多少
薄れる。しかし今回はインディペンデントではない訳で、メ
イジャー作品だとこの辺が限界かなと言うところ、これは仕
方がない。
園監督には最初から注目していたし、その後に見せられた私
小説的作品では多少退いたところもあったが、今回の作品で
は、プロとしての力量も感じさせてくれた。特にホラーだか
らといって妙にカルト的な方向に走るものでもなく、常識的
な物語を展開してくれるところが好ましい感じだ。
この線で、これからも頑張ってもらいたいものだ。

『サンタクローズ3』
       “The Santa Clause 3: The Escape Clause”
ティム・アレンの主演で、1994年に第1作、2002年に第2作
が公開された人気シリーズの第3作。アメリカでも今年11月
に公開されたばかりの新作だ。
第1作では普通の人間だった主人公が、ふとしたことからサ
ンタクロースの仕事を引き継ぐことになり、第2作ではその
主人公がMrs.サンタと巡り合い、さらに今回は、初めての子
供が誕生するというもの。しかも物語は、第2作は第1作の
8年後、今度は12年後ということで、律儀に年代も合わせて
作られているものだ。
つまり、お話は見事に繋がっているもので、となると前の作
品を見ていないと駄目かと言うところだが、実は僕も前の2
作は見ていなくて、それでも楽しむのに支障はなかった。結
局のところ、ベースの展開は極めて常識的なもので、別段前
の作品を見ていなくても、簡単に理解できる、その辺は安心
して見てもらえるようになっていた。
そして今回のメインの物語は、子供の誕生や妻の両親の訪問
など、クリスマスの直前だというのにいろいろな混乱が発生
して、ちょっと疲れ気味のサンタクロース。そこに付け込ん
で、悪役ジャック・フロストがサンタの仕事を奪い取ろうと
するものだ。
実はこの経緯というのが、フロストは季節を代表するキャラ
クターの一人で、その名の通り霜の使い手の彼は、何でも凍
らせる凄い能力を持っているのだが…いつもサンタの前触れ
のような扱いで、人々からは認められず、いじけているとい
うもの。
他の映画では、フロストはサンタの兄弟という説もあって、
悪役となることが多いが、こうしてみると、テーマは違って
も、結構人間の世界にもありそうな話で、大人はそれなりに
身につまされたりもするところだ。
しかも、このフロストが実行してみせるサンタの仕事を奪う
作戦が、かなり手の込んだもので、その辺りにも納得して見
られた作品だった。そしてその解決法も、それなりに納得し
て見ることができた。
アレン以外の出演者は、ジャック・フロスト役にマーティン
・ショート、妻の父親役にアラン・アーキンなど相当の顔ぶ
れが揃っている。特に、ショートと妖精役の子供たちが歌い
踊るショウのパロディの場面は見ものだった。

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11月30日(木)
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