ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460327hit]

■第123回
ードショウの共同製作で進めることになっている。物語は、
マッハ号を操る主人公と謎のレーサーXとの関わりを描くも
のになりそうだが、兄弟と製作者は、Rレイトで公開された
『マトリックス』より広い観客層を想定した物語にするとし
ており、脚本は、現在兄弟が執筆中とのことだ。
 ただし、このレーサーXとの関わりを描くというアイデア
は、第66回で紹介したように俳優のヴィンス・ヴォーンが提
案したものだったはずで、その辺のことは配役も含めて今回
は報告されていなかった。
 また、撮影をヨーロッパで行うことに関しては、『Vフォ
ー・ヴェンデッタ』をドイツで撮影した経験から当地のVF
Xの実力を見極めたということだが、アニメの荒唐無稽な映
像をどこまで実写のVFXで再現できるかも期待される。な
お、VFXのスーパヴァイザーは、最初の『マトリックス』
でオスカーを受賞し、その後も手掛けたのジョン・ガーエイ
ターが担当しているが、『マトリックス』の最後ではCGI
に頼り過ぎて失敗した経験を活かしてもらいたいものだ。
        *         *
 前回と前々回の記事の続報で、トム・クルーズがMGM傘
下のユナイテッド・アーチスツ(UA)の再生に向けて協力
することが発表された。
 これは、具体的にはクルーズの盟友ポーラ・ワグナーが、
UAのCEO(最高経営責任者)に就任するというもので、
今後UAはMGMとさらに親会社のソニーの意向を受けて、
低予算から中規模(製作費5000万ドル以下)までの作品を中
心に、毎年4本程度ずつ製作して行くことになる。ただし、
製作費はもっと大形のものも容認されているようで、ここに
は前回紹介したクルーズの支援者からの資金投入もあるとさ
れる。その製作計画は、近日中に発表されるとのことだ。
 製作会社としてのクルーズ/ワグナーは、トム・クルーズ
主演の大形映画を製作する傍らで、以前からインディーズ作
品の製作にも手を貸していたから、今回UAのブランドを持
つことは、その延長線上の仕事ということにもなるものだ。
ワグナーはCEO就任に当って、「よりアーチストにフレン
ドリーな製作会社を目指す」としている。これでチャップリ
ンらが設立し、ウッディ・アレンやロバート・アルトマンを
開花させたUAが、再び新しい歴史を刻み始める。
 ただし、クルーズ個人はMGM/UAと専属契約を結んだ
ものではなく、今後も他社の作品にも出られるということ。
またクルーズ/ワグナーも他社との提携を認められているよ
うだが、クルーズの次回作には、今回の提携をアピールする
意味も含めてMGMの大形作品が優先される可能性は高く、
そこには“Terminator...”の噂もあるようだ。
        *         *
 2000年にビリー・ボブ・ソーントン監督、マット・デイモ
ン、ヘンリー・トーマス、ペネロペ・クルスらの出演で映画
化された『すべての美しい馬』の原作者コーマック・マッカ
ーシーの新作“The Road”の映画化権が、インディペンデン
スの製作者ニック・ウェクスラーと契約され、ガイ・ピアー
スの主演で“The Proposition”という作品を撮り終えたば
かりのオーストラリア出身の監督、ジョン・ヒルコットの手
で映画化されることになった。
 物語は、息子を安全地帯に連れて行くため、荒野を旅して
いる男を主人公としたものだが、実はこの荒野というのが核
爆発後の悪夢のような世界というもので、『すべての…』に
描かれたような西部劇の世界とはかなり違ったものになりそ
うだ。しかもこの作品には、餓死寸前の落伍者や彼らを襲う
強奪者の群れ、さらにカニバリズムなどのダークな要素もあ
って、大手の映画会社では製作できないとされたもの。しか
し、ウェクスラーはインディペンデンスの強みとして、クリ
エーター達には最大の自由を与えて映画化を目指すとしてい
るものだ。
 なお、マッカーシーの原作からは、すでにジョエル&イー
サン・コーエン監督で、トミー・リー・ジョーンズが主演す

[5]続きを読む

11月15日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る