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On the Production
by 井口健二
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■酒井家のしあわせ、めぐみ、沈黙の傭兵、恋人たちの失われた革命、パプリカ、ファミリー、華麗なる恋の舞台で
やにしてはいけないものだし、その意味でこの作品が世に出
ることには意義がある。
ただし日本人にとっては、ここに映される映像の大半は何度
も見てきたものの繰り返しに過ぎないし、新たに得られる情
報はほとんどない。さらにそのカメラの先にあるのは被害者
の家族ばかりで、それに対する政府の動きなどもほとんど描
かれない。
その点では大いに不満も感じるが、この作品がまず拉致事件
を世界に知らしめることを目的としたものであるとき、それ
は仕方のないことと考える。実際、この作品が来年のアカデ
ミー賞の候補にでもなったら、それは大きな力を生むことに
なるはずだ。
現時点で、北朝鮮以上に事件に幕を引きたがっているのは、
北朝鮮への食料支援名目の農作物の買い付けにより農家票を
獲得したい政府与党のように思えるが、この作品が世界の世
論を動かして、事件の幕引きを阻止してくれることを期待し
たい。
『沈黙の傭兵』“Mercenary for Jstice”
スティーヴン・セガール主演によるアクション作品。
『沈黙』シリーズ最新作と銘打たれるが、以前にも書いたよ
うに別段主人公などが共通するシリーズという訳ではない。
それにしても、この『沈黙』という冠を最初に付けたのは、
1992年“Under Siege”の邦題を『沈黙の戦艦』としたワー
ナーだが、はっきり言って台詞廻しが下手で寡黙になりがち
なセガールの作品には、見事に填ったものだ。
ということで、今回のセガールの役柄は、CIAの手先とな
って隠密任務を遂行する傭兵部隊のリーダー。折しもアフリ
カの独裁国の内乱で、民主化を目指す反政府側に加担してい
るが、実はその裏では利権を巡る取り引きも進んでいた。
しかし主人公たちは、そんな裏取り引きには関知せず、犠牲
者を出しながらも上層部からの命令のままに任務を成し遂げ
る。と言っても寄せ集めの傭兵部隊は、内部のいさかいも絶
えず、そんな中で主人公は、信頼できる一部の人間を核に任
務を遂行して行くものだ。
そして、次ぎなる任務として、南アフリカの最高難度の刑務
所に収監された男の奪還作戦が命じられる。しかしそれもま
た利権に絡むもので、それを察知した主人公は…しかも守ら
なければならない戦友の家族を人質に取られて…そんな複雑
な状況の中で作戦が繰り広げられる。
まあ単純にアクション映画だし、展開には多少無理があるに
しても、見ている間だけ楽しめればそれで良いという作品。
その意味ではかなり楽しめるし、見た後の爽快感もそれなり
に感じられる。それだけあれば充分だろう。
それに今回は、特に前半の戦場のシーンなどはかなり大掛か
りで、それも充分に楽しめる。基本的に戦争映画は好きでは
ないが、この作品は戦争の是非などを描くものではないし、
ましてや戦争を美化するような英雄的な描き方もしていない
から、その意味では気楽に楽しめた。
製作は、『沈黙の聖戦』『…標的』『…脱獄』に続けてラン
ダル・エメットとジョージ・ファーラ。『悪魔の棲む家』の
リメイクに参加、“Day of the Dead”“Red Sonja”などの
リメイクも計画して、最近のアクション映画では特に注目を
集める2人のお陰で、セガールも存分に力を発揮できるよう
になったようだ。
『恋人たちの失われた革命』“Les Amants Reguliers”
1968年のカルチェラタン闘争を発端に、最終的な年号の表示
はなかったが、恐らく1970年までの3年間のパリの若者たち
の姿を描いた上映時間3時間2分、モノクロ・スタンダード
の作品。
監督・脚本のフィリップ・ガレルは1948年の生まれだから、
1968年にはちょうど20歳。そしてこの映画の主人公のフラン
ソワも20歳の設定という作品だ。
16歳のときから作品を発表している監督は、この当時はすで
に認められた存在で、そんな監督と学生運動との関わりがど
うであったかは判らないが、この作品が監督による当時の出
来事に対するオマージュであることは間違いない。
物語は、カルチェラタンの闘争に参加して革命を叫びながら
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11月10日(金)
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