ID:47635
On the Production
by 井口健二
[471156hit]
■東京国際映画祭2006コンペティションその1
る機会が増えるように、手を貸し始める。
この少年のキャラクターが実にユーモラスに見事に描かれて
おり、その意味では子役に勝る名優なしという類の作品だ。
しかし、いくら何でも物語がグロテスク過ぎる。物語では少
年が死を演出して行くことにもなる訳で、その辺の感覚が単
にお話として了解するには、ちょっと描き方が違うようにも
感じられた。
原作があるということだが、映画はそれぞれのシークェンス
ごとにテーマとなる登場人物がテロップで表示されるなど、
いろいろ面白い工夫もされているし、演出や俳優の演技にも
問題はない。その辺の手腕は充分にある監督と思われるが、
如何せん題材が過激すぎる。
主人公の少年を演じたヤニク・ローレンセンは芸達者だが、
煙草を吸ったりという描写は今時必要かどうかも疑問に感じ
た。それに、テーマの一部に近親相姦が描かれるのも、あま
り了解できるものではなかった。
『ドッグ・バイト・ドッグ』
日本の配給会社の出資で香港で製作された作品。ただし、製
作以外のスタッフキャストには日本人は一切関わっていない
ようだ。
カンボジアで孤児を集め、互いに殺し合いをさせて最強の殺
人者を育てる組織が送り出した殺し屋と、父親の背中を見て
警察に入った刑事との対決を描いたアクション作品。
この殺し屋をエディソン・チャン、刑事をサム・リーが演じ
る。他にラム・シューやペイ・ペイが共演。監督のソイ・チ
ェンは、すでにホラー映画などで実績を積んでいるというこ
とで、その意味では充分に名のあるスタッフキャストによる
作品と言える。
物語は対決する2人を交互に描くが、その内の殺し屋に関し
ては、ジェット・リーが主演した『ダニー・ザ・ドッグ』と
の共通点が否めない。そこで刑事も主人公になっている訳だ
が、こちらは憧れの的だった父親が実は汚職警官だったりと
いう、ちょっと食傷気味の展開となる。つまり、どちらもが
2番煎じの感じになってしまったものだ。
実際に、本作の企画とリー作品の公開との時間的な関係がど
のようであったのかは知らないが、僕はもっと殺し屋の話を
しっかりと描いて欲しかったと思うものだ。もちろんそれは
リー作品との類似点を指摘されてしまうものだが、それでも
カンボジアでの経緯などがもっと克明に描かれれば、充分に
勝負できる作品になったと思える。
それに比べて香港の刑事の話は如何にも陳腐で、取って付け
たような感じがしてならなかった。
『OSS117カイロ、スパイの巣窟』
1955年のエジプトを舞台に、各国入り乱れて繰り広げられる
スパイ合戦を描いたコメディ作品。
製作はフランス・ゴーモン社だが、巻頭のロゴマークにはそ
のモノクロ時代の古いものが使用され、それに続いて昔のラ
ンク映画を思わせる大きなドラが打ち鳴らされるというパロ
ディが登場。この辺から僕はニヤニヤし通しだった。
そしてプロローグはナチスドイツの機密を狙う作戦で、この
部分はモノクロで描かれるが、それに続く007を思わせる
タイトルから徐々に色彩が入ってきて、本編はカラーという
洒落た演出もあった。こういう遊び心で一杯の作品。
さらに舞台がエジプトということで、スエズ運河の景観が登
場するのだが、これが多分見事なCGIで、古い感じの運河
を昔のままの船が航行している様子には感心してしまった。
また、時代設定を50年代にしているために、植民地に対する
差別的な発言が繰り返されたり、その一方で、プレゼントと
称して大統領の写真を配るエピソードなどは、フランス人が
見たら、僕ら以上に笑えるものなのだろうが、その辺が充分
に理解できないのは悔しいところだ。
因に、OSS117シリーズは1960年代に何作か作られているが、
本作でそのシリーズ再開となるものかどうか。映画の最後で
は、次ぎはイラクでの作戦となっていたようだが…
それから、台詞では「ソビエト」と発言され、日本語字幕も
「ソビエト」となっていたシーンで、映画祭では決まりの英
語字幕にはそれが「ロシア」になっていた。アメリカの意向
[5]続きを読む
11月05日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る