ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460333hit]
■百年恋歌、合唱ができるまで、レディ・イン・ザ・ウォーター、世界最速のインディアン、13の月、椿山課長の七日間、アントブリー
もちろん子供のグループの中には、最後まで落ち着きの無い
子などもいるのだが、それも見事に気を逸らせないように指
導して行く。そして、映画の中では、徐々にコーラスが完成
して行く喜びも感じられた。
映画の後半では、伴奏の楽団が入って全体が完成されて行く
様子も描かれるが、指揮者も思わず弱音を吐くような状態か
ら、それが一瞬にして纏まるシーンは、ある種の奇跡を見る
ような感動さえも憶えてしまった。
演奏される音楽は、マルカントワーヌ・シャルパティエ作曲
『真夜中のミサ曲』と、ヨハン・ミヒャエル・ハイドン作曲
『幼子殉教者の祝日の晩課』。普段聞き慣れないミサ曲も心
地よく聞かれた。
なお作品は、一切のナレーションも排して純粋に現状音だけ
で綴られている。それは、題材が合唱の指導であるから、指
導者が充分に語ってくれているものではあるが、それにして
も、最近の製作者の意見ばかりが饒舌なドキュメンタリーに
比べると、それだけで心地よさも感じてしまう作品だった。
歌うのはカラオケも苦手な自分だが、こんなアマチュア合唱
団でなら歌ってみたい気持ちにもなった。
『レディ・イン・ザ・ウォーター』“Lady in the Water”
『シックス・センス』や『ヴィレッジ』のM.ナイト・シャ
マラン監督の最新作。
物語の元は、監督が2人の我が子に語って聞かせたbedtime
storyだそうで、完成された映画も、見事にお伽話になって
いる。そのお伽話を、納得して楽しめるかどうかということ
で、観客の心の純粋さも試されるという感じの作品だ。
そのお話は、プールの底に隠れ家があって、1人の女性が隠
れていたというもの。彼女は水の世界からの使者で、その使
命は人類の特定の人物と会って、その人物を目覚めさせるこ
と。その人物を目覚めさせることで、人類は正しい未来へと
導かれるのだ。
一方、彼女は使命を果たした後には水の世界に帰還しなけれ
ばならないが、地上には、彼女の使命と帰還を妨害するため
の怪物も放たれている。だが、目覚めた人物の周囲には、彼
女を守るための人々も、その職務を認識しないまま居るはず
だった。
そして、映画の主人公は、とあるアパートの管理人。そのア
パートには、人種や職業もばらばらな人々が暮らしていた。
ある夜、彼は夜間使用禁止のプールの中に1人の女性を発見
する。その女性を保護した彼は、彼女の言葉を信じ、その人
物捜しと彼女を守る組織作りを始めるが…
何しろ、主人公も含めて登場する人たちが彼女の言うことに
全く疑問を持たず、主人公を中心に職務を全うしようする。
それがこの物語のお伽話らしさというところだ。
実際、この映画の登場人物の大半は、全く無償で彼女のため
に尽くそうとする。そんな他人を無条件に信じる気持ちは、
恐らく現代人が最も忘れているものだろう。そんな寓意も含
む物語ともいえる。
ただし映画自体は、特定の人物の割り出しや、使命を持った
人々の探索などがちょっとしたゲーム感覚で描かれていて、
さすがに現代の子供に聞かせるお伽話という感じもする。そ
の辺の感覚も楽しみたいところだ。
出演は、『シンデレラマン』のポール・ジアマッティーと、
『ヴィレッジ』に引き続いてブライス・ダラス・ハワード。
特にハワードは、監督の2人の娘から直々のご指名だったそ
うだが、彼女自身、父親のロン・ハワードから『ウイロー』
などのbedtime storyを聞かされて育ったということで、こ
のオファーには感激もひとしおだったようだ。
『世界最速のインディアン』
“The World's Fastest Indian”
1962年、ユタ=ネヴァダ州境のボンヌヴィルにあるソルトフ
ラッツで、2輪車の世界最速記録を樹立したニュージーラン
ド男=バート・マンローの実話に基づく物語。
使われるマシンは1920年型インディアンスカウト。マンロー
は、本来の最高時速は80kmというこのバイクを、40年掛けて
自分の理論に基づき手作りで改良し、63歳のときに初めてボ
[5]続きを読む
09月29日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る