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On the Production
by 井口健二
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■トンマッコル、サッド・ムービー、遙かなる時空〜、靴に恋する〜、地下鉄に乗って、地獄の変異、サイレントノイズ、ユアマイサンシャイン
どれか一つを取り上げてねちねちと描かれたら、多分途中で
席を立ってしまいそうな物語だが、それらの物語を相互にう
まく連携させながら、見事に最後の瞬間に纏め上げて行く。
その構成の巧みさにも感心させられた。
特に、半分狂言回しのように登場するチャ・テヒョンが演じ
る他人の恋の終りの演出する男の存在が、それぞれの物語に
直接絡むことなく描かれることで、この物語の全体を象徴的
に見事に纏め上げている感じもした。
出演は、『僕の、世界の中心は、君だ』のテヒョンのほか、
『私の頭の中の消しゴム』のチョン・ウソン、『箪笥』のイ
ム・スジョン、『甘い生活』のシン・ミナ、『ビッグ・スウ
ィンドル』のヨム・ジョンアなど韓国映画を代表する男女優
が顔を揃えている。
恋は終る瞬間が一番輝くが、映画にはそれ以前の物語もたっ
ぷりと描かれている。
『遙かなる時空の中で〜舞一夜』
コーエーから発売中の女性向け恋愛ゲームを原作として、す
でに連載コミックスやテレビアニメにも展開している物語か
ら、劇場向に製作された新作アニメーション作品。
異界の京都・平安京を舞台に、タイムスリップした女1人、
男2人の現代の高校生が、平安京を怨霊から守る力となって
活躍するファンタシー・アドヴェンチャー。
主人公の女子は「竜神の神子」と呼ばれ、都を守る最後の拠
所とされるが、彼女自身にその自覚はない。こんな展開に始
まって、後は愚図愚図と責務を全うするまでが描かれる。
日本アニメーションはあまり観ないが、観た作品の殆どはこ
の展開だ。こんな同じ展開ばかりよくまあ描けるものだとも
思ってしまうが、それが受けているのなら仕方がない。しか
も、上の設定は殆ど説明されずに物語が始まってしまう。
この設定を説明しないのも、最近の日本のアニメーションの
特徴のようだ。実はシリーズでは設定を説明できるほど事前
に構想を練っておらず、行き当たりばったりの展開なので、
したくてもできないというのも、実情のようだが…
というのが僕の日本アニメーションに対する印象だが、この
作品もあまり変わることなく始まってしまう。ところが、こ
の作品では丁度良いタイミングで設定の説明が挿入された辺
りから、ちょっと雰囲気が変わってきた。
そして後半は、敵が怨霊となった経緯の物語などが手際よく
語られ、大団円に向かってテンポも軽快に演出されているも
のだ。怨霊との闘いもそれなりに描けているし、ファンタシ
ーの捉え方もまずまずのようにも感じられた。
それに平安京の描写も、実写ではなかなか得られない空間の
広がりのようなものも描かれていて、そんな雰囲気も好まし
い感じだった。
物語は究極の結末には至っていないし、続編が作られるのな
ら、また観てみたい感じもしたものだ。
『靴に恋する人魚』“人魚朶朶”
日本のヴァラエティ番組や、コマーシャルでも人気者だった
ビビアン・スーが母国の台湾で主演したメルヘンと呼ぶのが
相応しい作品。
香港の人気スター、アンディ・ラウがアジア地域の新しい才
能を発掘するために開始したプロジェクト=FFC(Focus
First Cut)の第1作で、本作は台湾のロビン・リー監督の
デビュー作ということだ。なお本作は、昨年の東京国際映画
祭でも上映された。
物語は、脚が不自由に生まれた少女が、手術でその不自由を
克服することから始まる。幼い頃から絵本が好きだった少女
は、声を奪われることを心配していたが、そのようなことも
なく…そして少女は成長し、素敵な恋をし、結婚もするが…
映画の全体は絵本の構成をモティーフにして、特に前半は、
説明のためのナレーションが絵本の文章のように語られ続け
る。本編に入るとそれは減るが、それでも随所に説明的な部
分がある。そんな絵本の雰囲気を見事に映像化した作品だ。
内容も、絵本を髱髴とさせるキャラクターやシチュエーショ
ンが登場して、素朴さと優しさに溢れた作品となる。そして
その雰囲気が、セットから撮影まで全てに統一された中で、
物語が展開して行く。
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08月20日(日)
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