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On the Production
by 井口健二
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■クリムト、西瓜、ミラクルバナナ、愛と死の間で、サラバンド、夢遊ハワイ、マイアミ・バイス
めに、彼を自分のアパートに招くのだが…そのアパートが、
実はAV撮影のスタジオと同じ建物だったことから、男は自
分の正体を隠そうとしてすったもんだの展開となる。
これに、主人公2人の心情を歌い上げる、極めてカラフルな
ミュージカルシーンが随所に挿入されて、映画はコミカルか
つ華やかに進んで行く。
上にも書いたように本作はベルリンで受賞しているが、描写
されるセックスシーンは、芸術と猥褻のかなり際どいところ
を突いている。それが芸術として捉えられたのならそれでよ
しとするが、かなり強烈なものであることは確かだ。
因に本作は、台湾、香港ではノーカット上映されたと報告さ
れているが、ということはそれ以外の国では駄目だったとい
うことなのだろう。しかも本国の台湾では、この作品で上映
基準が変更されたとも伝えられ、好奇心も手伝って台湾映画
の年間興行第1位を記録したそうだ。
日本ではもちろんノーカットの上映が実現するが、日本人の
観客には、ちょっとあれれ?と思ってしまうところもありそ
うだ。というのも、実は映画に登場するAV撮影の相手役の
女優を日本人が演じているのだ。
確か去年の東京映画祭では、他にも日本のAV女優の登場す
る作品があり、日本製AVが東南アジアにはかなり輸出配給
されて、注目もされていることが紹介されていた。僕として
は「何を輸出しているんだか」という感じにもなったが、そ
れが現実のようだ。
ただし、本作はその方面の話題だけでなく、描かれた物語に
もちゃんとした内容が備わっている。その辺を真摯に捉える
ことが出来れば、他にも面白いシーンはいろいろある作品だ
と考えるが…

『ミラクルバナナ』
2002年に『白い船』という作品が公開されている錦織良成監
督作品。前作は、小さな漁村の小学生と、沖合を航行する白
い大型フェリー船との交流を描いたもので、小さな出来事が
生み出す感動を見事に描いた作品だった。
本作もそれに通じた作品と言える。バナナから紙を作る、聞
いただけなら「ああそんなことも出来るだろうな」と思うだ
けで済んでしまうことが、本当はものすごく大きな物語につ
ながっている。そんなことを考えさせてくれる作品だ。
物語の主人公は、愛知県の出身で外務省の派遣員に応募して
ハイチにやってくる。政情も安定せず、西半球で最も貧困な
国と言われるハイチ。インフラの整備も遅れ、首都でも停電
は日常という生活環境だが、そこに暮らす人々の笑顔は底抜
けに明るかった。
しかし、幼い子供が風邪を引いただけで死んでしまうという
現実や、何よりノートを取る紙も無くて識字率が上がらない
という現実を彼女は目の当りにする。そんなとき、実家から
送られてきたヴィデオの消し残りに、バナナから紙を作るこ
とが紹介されていて…
映画の物語はフィクションだと言うことだが、実際にバナナ
から紙を作る事業は、名古屋市立大学大学院教授・森島氏の
提唱でハイチ共和国から始まり、カリブ諸国やアフリカでも
行われているということだ。そんな実話を背景に、主人公の
女性の活躍が描かれる。
主演は小山田サユリ。『アカルイミライ』など、主に日本の
インディーズ作品で活躍する女優さんで、僕も過去に何本か
見ているが、今までは何か印象に残らないというか、逆に印
象に残った作品では映画の出来が今一つだったりで、いつも
ちょっと…という感じだった。
しかし今回は、何にでもチャレンジして行こうという雰囲気
が、この作品にはピッタリという感じで、多少オーバーアク
ションの笑顔も映画に合っている感じがした。
また、彼女を囲む緒方拳、山本耕史、現地職員役のアドゴニ
ー(さんまのTV番組などに出演)や、現地でオーディショ
ンされた子役などのアンサンブルも良く描けていた。
なお撮影は、ハイチでは治安が悪いために隣国ドミニカでの
ロケーションが中心になっているが、それでもハイチの現地
ロケも敢行され、見事な映像が捉えられている。この撮影に
は、ハイチで取材する日本人フォトジャーナリストの協力も

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07月31日(月)
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