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On the Production
by 井口健二
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■ミートボール・マシン、キャッチボール屋、グエムル、セプテンバー・テープ、ザ・フォッグ、鬘、ニキフォル、日本以外全部沈没
もある。それも日本映画を感じさせる要因かも知れない。
確かに、描いている内容に関しては、それぞれ良く描き込ま
れている感じはするのだが、何かそれがこちらの心に響いて
来ない。最近の日本映画を見ていると、時々こんな感じに陥
ることがある。物語が淡々と進みすぎて映画に熱さが感じら
れないようにも思えた。
『グエムル−漢江の怪物−』(韓国映画)
『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督が、韓国映画には珍しい
怪獣映画に挑んだ作品。
首都ソウルを流れる大河・漢江。韓国では平和の象徴とも呼
ばれ、河岸には四季を通じて観光客や遊覧客で賑わうこの河
から、突如巨大な怪物が出現。怪物は素早い動きと怪力でそ
の場にいた人々を襲い、食い始める。
主人公の一家は、その河岸で飲食物の屋台を営業していた。
その日、父親と共に店番をしていた一家の長男は、怪物の出
現を間近で目撃し、居合わせた一人娘の手を引いて避難しよ
うとするのだが、雑踏の中で手が離れ、娘は怪物に連れ去ら
れてしまう。
このため娘は死んだものと見做され、被害者の合同慰霊祭の
会場に遺影が飾られる。そして駆け付けた次男、長女と共に
一家4人で悲しみに沈んでいたとき、突然防護服を着た一団
が現われ、一家は強制的に施設に隔離されてしまう。
ところが、その収容先で長男の携帯電話に助けを求める娘の
声が届く。しかしその事実を訴えても当局は取り合ってくれ
ない。そこで、一家は自分たちの能力を駆使して娘の救出に
向かうことにするが…
これに、一家の次男が元学生運動の闘士で、長女がアーチェ
リーの名手という伏線があり、頼りにならない当局の裏を掻
いて一家が娘の救出に向かう顛末が描かれる。
日本の怪獣映画は、どちらと言うと当局の主導で、大掛かり
な対抗策を描くのが売りものとなる。従って本作のように、
市井の一家が単独で怪物と対決するという展開は、確かに新
機軸と言えるものかも知れない。その着眼点は面白いと感じ
る作品だった。
一方、登場する怪物は、体長4〜5mほどの巨大ナマズに手
足が着いたような感じで、グロテスクではあるがそれなりに
リアルに描かれたものだ。この怪物を、『炎のゴブレット』
などのオーファネージ、『キングコング』などのWETA、
それに『スクービー・ドゥー』を手掛けたジョン・コックス
というハリウッド映画でも活躍するVFXスタジオが共同で
作り上げている。
韓国映画でも、未来都市のCG映像などは見た記憶があり、
それなりの水準だとは思っていたが、怪獣映画となるとまた
違った技術が必要になる。その点で外部の力を導入するのは
正しいやり方だろう。実際、怪物の縦横無尽の動きの良さな
どは見事なものだった。
とまあ映画の作り方はいいと思うのだが、どうもお話が歯痒
い感じだ。特に、映画の発端で原因が駐留アメリカ軍にある
ことを匂わせ、途中でもアメリカ軍の強引な作戦などという
話もちらほら出てくるのだが、その経緯を明確に描かない。
確かに、映画のコンセプトは市井の一家が活躍するというも
のだから、それはそれでも良いのだが、観客としては歯痒さ
が残ってしまうものだ。それに結末も、ちょっと観客として
は納得できないものだった。まあ、これが韓国映画のリアル
さなのかも知れないが。
出演は、ソン・ガンホ、ピョン・ヒボン、パク・ヘイル、ペ
・ドゥナ、それに14歳のコ・アソンが怪物に連れ去られる娘
役を見事に演じている。
『セプテンバー・テープ』“September Tapes”
2002年、アフガニスタン−パキスタンの国境付近で8本のヴ
ィデオテープとヴォイスレコーダーが発見された。それは、
9/11以降にアフガニスタンに潜入し消息を絶ったドキュ
メンタリー監督のものだった…という触れ込みで始まるフェ
イクドキュメンタリー作品。
実際、この映画に監督役で登場するのは、『バンド・オブ・
ブラザース』などに出演しているジョージ・カリルという俳
優だし、通訳を演じているのも、ハリウッド唯一のアフガン
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07月20日(木)
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