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On the Production
by 井口健二
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■ポセイドン、ハイジ、僕の世界の中心は君だ、バタリアン4、ウルトラヴァイオレット、王と鳥、サイレントヒル
ルプスの景観と、首都リュブリアナでは当時のフランクフル
トの町並が再現撮影されている。
主人公のハイジ役は、『イン・アメリカ』などのエマ・ボル
ジャー。ペーターを『耳に残るは君の歌声』などのサミュエ
ル・フレンド、クララを2004年版“Five Children and It”
(砂の妖精)に出演のジェシカ・クラリッジなどの実績のあ
る子役たちが演じている。
また共演は、マックス・フォン・シドー、ジェラルディン・
チャップリン、ダイアナ・リグという顔ぶれ。因に、アルム
爺役のフォン・シドーは、過去に3度この役をオファーされ
たが断り続け、今回は脚本が気に入って初めて出演をOKし
たのだそうだ。
その脚本は、イギリスのテレビ界で1960年代から仕事をして
いるというブライアン・フィンチ。と言っても、原作をそつ
なくダイジェストしているという感じで、特に注目するほど
ではない。アルプスとフランクフルトを舞台に、よく知られ
たお話が展開するものだ。
それより何より、この映画の素晴らしさは、スロヴェニアの
ジュリア・アルプスと呼ばれる山岳地帯で撮影されたロケー
ションの美しさ。6週間の撮影期間に奇跡的に四季が訪れた
という、新緑から紅葉、雪山と変化する景観は見事だった。
実際、雪山のシーンは、当初は人工雪と背景はCGで処理す
る予定だったが、撮影の数日前に突然90cmもの積雪があり、
背景も本物で撮影できたとのことだ。
定番の物語だが、敢えてそれを現代化することなく、恐らく
ロケーションハンティングが一番大変だったのではないかと
思われる捜し抜かれたロケ地と、さらに自然の助けもあって
見事な映像が展開する。
日本では、テレビアニメのお陰で、最も著名な児童文学の一
つと言えると思うが、ハイジ役ボルジャーの雰囲気はそのイ
メージを損なわないし、クララ役のクラリッジも如何にもお
嬢様らしくてよい。
上映時間1時間44分では、物語の展開はあっけないほどに早
いが、変な溜めも無い分、気持ち良く楽しむことが出来た。
『僕の、世界の中心は、君だ。』(韓国映画)
日本では、2004年の映画化、テレビ化が大ヒットした北山恭
一原作『世界の中心で、愛をさけぶ』の韓国製リメイク版。
2005年作品。それにしてもこの原作の題名は、SFファンと
しては気になるところだ。
と言っても僕は、原作は読んでいないし、日本版の映画もテ
レビも見ていない。いまさら純愛と聞いてときめく年齢でも
ないし、正直に言って今回の韓国版の映画を見ても、こんな
程度のお話で何を大騒ぎしていたのだという感じだ。
でもまあ、日本では原作も映画も大ヒットしたのだから、い
かに若い人たちが純愛に飢えているのかというところなのだ
ろう。それはそれで、そういうことなのだから認めなくては
ならないものだ。年寄りがとやかく言うことではない。
それにこの作品は、純愛映画が得意の韓国製ということで、
僕としては日本映画で見せられるよりは距離感もあって、気
楽にというか、邪心無く見られたことは確かだ。また、韓国
特有の葬儀の様子なども紹介されて、その辺は興味を引かれ
もした。
内容は、成績優秀、学園のマドンナ的存在の女子生徒の恋の
相手になってしまった平凡な男子高校生の物語。この女子生
徒役を、『秋の童話』などで各種受賞歴を持つ韓国テレビの
人気女優ソン・ヘギョが映画初主演で演じている。
一方の男子生徒役は、『猟奇的な彼女』などのチャ・テヒョ
ン。4月末に紹介した『君に捧げる初恋』でも同じような境
遇の高校生を演じていたが、『君に…』の製作は2003年で、
よく考えたら『世界の…』より前に、同じような話が韓国で
作られていたということのようだ。
日本製ヒット映画の韓国版リメイクでは、以前に映画祭で、
『リング』を見たことがあるが、韓国版『リング』は実に原
作に忠実で好感を持った。
今回は、上にも書いたように、僕は原作も日本版も見ていな
いので比較はできないが、試写の終映後には、「日本版を思
い出して泣けた」と話している女性の声も聞こえたようだ。
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05月30日(火)
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