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On the Production
by 井口健二
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■Vフォー・ヴェンデッタ、ファイヤーウォール、SPIRIT、ブラッドレイン、ククーシュカ、南極物語
と言われている作品。フォードのこの前のアクションという
と、1997年の『エアフォース・ワン』辺りになるのかな。前
回はアメリカ大統領、今回は銀行の重役という役柄だ。
主人公は、小さな銀行のネットセキュリティ担当重役。そん
な彼が構築したファイアウォールは、難攻不落の電子の要塞
だったが、ネット犯罪の被害を経費として計上した方が安上
がりと考える同僚重役とは、セキュリティ予算を巡って争い
が絶えない。
ところがある日、彼の許に覚えの無いネットギャンブルの取
立て屋が現れる。そしてその夕刻、彼は友人に誘われセキュ
リティ会社を設立しようとする起業家の誘いを受けるが…そ
の間に彼の住居が襲われ、家族を人質に取られてしまう。
犯人たちの要求は、彼の銀行の大口預金者を選んで、その口
座から一定額づつを指定の口座に振り込むというもの。その
総額は1億ドルに及ぶが、各口座から奪われる金額は少ない
ため発覚までには時間がかかるという計算だ。
その犯行自体は、主人公が指示に従えば雑作もないことだっ
た。しかし、事態は犯人たちの予測していなかった方向に進
んでしまう。そして犯行を焦る犯人と主人公との頭脳戦が繰
り広げられることになる。
フォードの主演作ということでは、絶対に主人公が勝ち、平
和な生活が取り戻せるだろうという安心感がある。しかし犯
行が進み、主人公がどんどん窮地に追い込まれて行くと、彼
は一体どうやってこの窮地を脱するのか…。その辺りでぐい
ぐい引き込まれて行く感じの作品だ。
正直に言って、俳優フォードにとってこのような観客の側の
捉え方が、徳なのか損なのかは難しいところだが、もはやこ
れがブランドになってしまった感があるところでは、これか
らもこの路線を全うしてもらいたいと思うところだ。
相手役には、イギリスからポール・ベタニー、『サイドウェ
イ』のヴァージニア・マドセン、『24』のメアリ・アン・
ライスカブ、『T2』のT-1000役が鮮烈なロバート・パトリ
ック、ロバート・フォースター、アラン・アーキンなど。
特に、ベタニーの知的だが冷酷な犯人像は映画全体に良い味
を付けている。また女優2人の役柄も魅力的だったし、パト
リックの役柄の雰囲気も良い感じだった。なおマドセンのデ
ビュー作が『砂の惑星』だったというのは嬉しい情報だ。
因に本作は、当初は“The Wrong Element”という題名で製
作されていたものだが、その後に原題が変更になっている。
その理由は、ドイツで“Long Elephant”と紹介されたため
だと言うのだが、そんなことで題名を変えてしまうものなの
だろうか。
『SPIRIT』“霍元甲”
霍元甲(フォ・ユァンジア)は、中国武道を統一し、1840年
の阿片戦争に破れてから自信を失っていた中国国民の希望の
星となったと言われる人物。この霍元甲をジェット・リーが
演じ、1910年10月に上海で行われた史上初の異種格闘技戦の
実話に基づく格闘技映画。
霍元甲は、天津で霍流を名告る武芸家の家に育ったが、幼い
頃に病弱だった息子に父親は武芸を禁じ、学芸の道を歩ませ
ようとする。しかし見よう見真似で鍛練を積んだ元甲は、や
がて父の死後にその道場を継いで、天津では並ぶものの無い
武芸者となる。
ところが、ただ強くありたいという思いだけで成長した元甲
は、ある日、弟子の受けた暴行への復讐のために他流の武芸
者を挑発し、その闘いの末に相手を殺してしまう。だが、そ
の復讐はさらに復讐の連鎖を生み、その結果は…
これにより闘いの空しさを知った元甲は天津を出奔し、各地
を放浪して自らの武芸のあり方を見つめ直す。そして道を極
め天津に舞い戻った元甲が目の当りにしたのは、その時代の
中国が西欧や日本などの列強に屈し、その歴史や文化が失わ
れつつある現実だった。
この現実に気づいた元甲は、屈強な西洋人の武芸者を倒し、
中国人の喝采を受けて中国人に自信を取り戻させるが、その
元甲の動きは列強国の反感を買うことになる。そして元甲の
行動を封じるため、史上初の異種格闘技戦の開催となるが…
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02月28日(火)
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