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On the Production
by 井口健二
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■刺青、かもめ食堂、B型の彼氏、ルート225、トム・ダウド
のない男』に主演したマルック・ペルトラなど全てフィンラ
ンド人俳優という作品だ。
そして映画では、日本人3人がいろいろな事情を抱えるフィ
ンランド人と拘り、いろいろな物語が展開して行く。それは
メルヒェンのようでもあり、また現実を反映しているようで
もある。そんな物語が、異国情緒豊かにゆったりとしたペー
スで描かれる。
フィンランド映画は、昨年『ヘイフラワーとキルトシュー』
を紹介しているが、あの作品でも、何か静かでのんびりとし
た泰然自若という言葉がピッタリの雰囲気が気に入ったもの
だ。本作は日本人の手になるものではあるけれど、同じよう
な雰囲気が感じられた。
その感じは、写し出される風景がそうさせるのか、フィンラ
ンド人俳優の演技がそうさせるのか、そこは謎だけれど、そ
の雰囲気が堪らなく心地良いものであることは確かだ。この
映画はそんな心地良さを満喫できる作品だった。
それと特筆されるべきは、小林が喋る見事に流暢に聞こえる
フィン語。女優が演じているのだから、それは覚え込んだ台
詞なのかも知れないが、僕には『ヘイフラワー…』で聞いた
フィン語の心地良さを思い出させてくれた。
群ようこが、映画の企画に共鳴して書き下ろした原作に基づ
く。実は、物語としては大したことが起こる訳ではないのだ
けれど、素敵にファンタスティックで、その後の生活に何か
の糧になる、そんな感じのする作品だ。
『B型の彼氏』(韓国映画)
2004年の後半に韓国では社会問題にもなったと言われる血液
型ブームを背景にした作品。韓国では2005年2月に公開され
て大ヒットを記録したそうだ。
日本でも血液型による相性占いは行われていると思うが、韓
国でのそれはB型男性の問題点だけを挙げつらったかなり過
激なものだったらしい。そしてこの作品は、何事にも慎重な
A型女性と奔放なB型男性という最悪の組み合わせの男女の
恋を巡るものだ。
まあ、血液型相性占い自体が馬鹿々々しいものだと言ってし
まえばそれまでだが、とは言えそれを信じている人も多い訳
で、そのような題材を映画化する場合には、そこをどのよう
に料理するかが映画制作者の腕の見せ所だろう。
この映画では、血液型による性格判断を一面で肯定するよう
でもあり、他面では否定して微妙に擦り抜けている感じだ。
もっともその中途半端さが、映画の全体を温いものにしてし
まっている面はあるが、まあ若年向けのロマンティックコメ
ディとはこんなものだ。
主演のB型男性を演じるのは、深田恭子、ウォンビン共演の
日韓合作ドラマ『フレンズ』に出演していたイ・ドンゴン。
A型女性をハン・ジヘ。さらにA型で血液型信者の従姉をシ
ン・イが演じて、3人は揃って昨年の韓国大鐘賞にノミネー
トされたそうだ。
なお韓国での血液型ブームは、1999年に能見俊賢の「血液型
人間学」が翻訳出版されてからのものだそうで、日本人とし
ては何か申し訳ない感じもした。
『ルート225』
芥川賞作家の藤野千夜が受賞後初書き下ろしで発表した原作
を、『エコエコアザラク』などの林民夫が脚色、崔洋一監督
の『クイール』などの脚本家の中村義洋が監督、『HINO
KIO』の多部未華子の主演で映画化した作品。
ある日、学校からなかなか帰ってこない弟を迎えに行った少
女が、ふと道に迷って両親の居ない世界に紛れ込み、弟と共
に両親の居る世界への帰還路を探す物語。
自宅からは225号線の向こう側にある公園で弟を見つけた
14歳の少女は、帰り道の曲り角で存在しないはずの浜辺を目
撃し、それによって両親の居ない異世界に迷い込む。そこで
は死んだはずの人が生きていたり、疎遠になった友が親友だ
ったりする。
そしてその世界から両親へは、たった一つの連絡手段があっ
たが…
この物語なら確かにファンタシーだと思うのだが、この作品
は典型的にSFとは呼べない作品だろう。恐らくは原作者も
SFを書くつもりはなくて、単純に少女の14歳から15歳への
旅立ちを描いたのだろうし、その意味では余韻もあっていい
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01月14日(土)
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