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On the Production
by 井口健二
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■シャークボーイ&マグマガール3-D、春が来れば、あぶない奴ら、タブロイド、美しき運命の傷痕、リトル・ランナー、PROMISE
傾向が根底にあるなど、いろいろ分析されているようだが、
本作の主人公はまさにそれを地で行く存在のようだ。
確かに、そう言った意味での主人公の人生観には、日本人と
は多少異なる面もあるかも知れない。しかしこの物語の全体
に流れるのは、ふと異郷に紛れ込んでしまった主人公が感じ
る人との交流の大切さであり、それが現代社会でのオアシス
のように描かれた作品だ。
そしてそんな現代社会の問題は、おそらく日本でも共通に感
じられるところでもあるし、一方、舞台となる炭坑町トゲの
風景は、日本では忘れられた原風景のようにも感じられるも
ので、日本人の心にも深くしみ入ってくる作品だった。
それにしても、この作品や以前に紹介した『スタンド・アッ
プ』や『ディア・ウェンディ』でも鉱山町が舞台になってい
たが、今の日本にこのような鉱山町は現存しているのだろう
か。昔は炭坑を背景にした映画もいろいろあったように記憶
しているが…
なお、炭坑町ということで町には鉄道が敷設されており、そ
こを走るいろいろな機関車の姿も楽しめた。もちろん『殺人
の追憶』など鉄道が登場する韓国映画も少なくはないが、こ
の作品のようにいろいろな機関車を見られるのは、ちょっと
珍しいように感じたものだ。
『あぶない奴ら』(韓国映画)
暴力的な取り立て屋とその標的の若者が繰り広げる大騒動を
描いたアクションコメディ作品。それにIT産業スパイや、
台湾マフィア、国家安全情報局までもが絡んで、話は飛んで
もない方向に進んで行く。
典型的なアクション・コメディだが、何しろ痛快の一言とい
うような作品。主人公2人は暴力沙汰も引き起こすが、頭は
切れるし、協力してくれる仲間もいろいろいて、巨大な敵に
見事に挑んで行く。
しかもその間、味方の側には負傷者は出るが死者はなし、こ
の明解、且つスマートな展開が心地よく決まっていた。しか
も携帯電話やGPS(?)などの現代的な小道具も見事に使
いこなされている。
何しろとやかく言う必要は全くなし。見れば面白い。しかも
アクションもかなりハードに決めているし、サーヴィス精神
は満点というところ。まあ、真面目な人には、ばかばかしい
と思われるかも知れないが、これが映画の楽しさだと言える
作品だ。
主演は、アン・ソンギとのコンビで韓国映画のバディ・フィ
ルムをリードしてきたというパク・チュンフンと、『猟奇的
な彼女』などで韓国トップ女優の相手を務めてきたチャ・テ
ヒョン。その2人がコンビを組んで、見事に主役を張ってみ
せた作品。
また、モデル出身で1999年度のミスワールドユニバーシティ
というコリアンビューティ、ハン・ウンジョンが映画初出演
で華を添えている。他にも、ソウル市内のランドマーク的な
建物も次々登場するようで、ソウルに行ったことのある人に
は、そういう楽しみ方もできるようだ。
『タブロイド』“Cronicas”
アルフォンソ・キュアロン製作によるメキシコ、エクアドル
合作による社会派映画。子供ばかりを狙った連続誘拐殺人事
件の謎を追うテレビ番組のレポーターが、思わぬ落とし穴に
引き摺り込まれて行く。
ジョン・レグイザモが演じる主人公は、マイアミをキー局に
放送されているラテン世界向けのドキュメント番組のレポー
ター。その主人公を含む番組の取材クルー(カメラマンと女
性ディレクター)がエクアドルに降り立つ。
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12月13日(火)
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