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On the Production
by 井口健二
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■サウンド・オブ・サンダー、マクダル/パイナップルパン王子、アメノナカノ青空
ルフオマージュといったところだが、「あの映画では火星に
行かなかっただろうが…」というのがSF映画ファンとして
は突っ込みたいところだ。
『マクダル/パイナップルパン王子』“麥兜・菠蘿油王子”
香港で人気絶大という絵本『マクマグ』シリーズから発展し
たテレビアニメーションのシリーズのスタッフが手掛けた長
編作品の第2作。本作は、香港3大映画賞の一つ電影評論学
会大賞をアニメーションで初めて獲得した。因に第1作は、
アヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを受賞して
いるそうだ。
マクダルは来年小学校に上がる予定の子ブタの幼稚園児。ち
ょっと行動が遅れ気味で、勉強もあまりできる方ではない。
しかも貧乏揺すりがひどくなり、それを心配した母親はその
対策(?)として、今はいない父親マクビンの話を始める。
マクダルの父親は実は王子だった。ところが偶然、王子は宮
殿を飛び出し旅に出ることになってしまう。しかし何の取り
柄もない王子は、そのまま謙虚で平凡な大人に成長。そして
料理人となって母親と結婚したのだが、ある日、元の自分に
戻ることを決心する。
これに、幼稚園やマクダルの生活の様子や、九龍地区の再開
発の話などが絡んで、物語はほのぼのとした雰囲気の中、リ
アルにそしてシュールに進んで行く。
主人公の画像などは他で見ていただきたいが、何しろ可愛い
というか誰にでも好かれそうなキャラクターだ。このキャラ
クターが香港では、マクドナルドや携帯電話、銀行、赤十字
などでもイメージキャラクターとなり、町中にあふれている
という。
そんな大人気のキャラクターの映画化だが、その内容は、巻
頭で描かれるリアル教育と称する幼稚園の授業風景からして
飛んでもなくシュールなもので、子供は笑って済ませるかも
知れないが、大人の目で見るとかなりズシンと来るものだ。
作品は全体的にそんな感じで、それを楽しむと言うか、多分
いろいろ身につまされるところを感じながら見てしまう作品
というところだろう。なお本編の物語は、原作絵本にはない
オリジナルだそうだが、かなりシビアな内容で、映画ならま
だしも本で読むにはきついかも知れないと思えるものだ。
そのシビアな物語を可愛いキャラクターで描くというのは、
手法としては正しいと思う。そしてこの作品が大人鑑賞にも
耐える作品であることは間違いない。しかし、これをこのま
ま子供に見せて良いかというと、親としては多少悩んでしま
うところだ。多分、子供は気にせず見てしまうのだろうが。
『アメノナカノ青空』“..ing”
難病で余命のない少女の恋愛を描いた韓国映画。
主人公の少女は、左手を分厚い手袋で隠している以外は見た
目には全く異常がない。しかし彼女の身体には生まれつきの
問題があり、医者は今まで生きているのが奇跡とまで言う。
そんな少女が病院を出て学校に通い始める。
さらに、彼女の前には一人の青年が現れる。彼は写真学校の
学生であり、カメラマン助手として海外旅行の経験もある。
そしてマンションの一階下に引っ越してきた青年は、窓辺で
夜空を楽しんでいた彼女に図々しくも話しかけ、彼女に生活
に踏み込んでくる。
一方、彼女の家は母子家庭だが母親は事業に成功しており、
そんな母親を名前で呼ぶ彼女は、母親を姉のようにも慕って
いる。そんな恵まれた生活、しかし彼女に残された時間は少
ないのだ。
見るからに泣かせるために作られた作品。でも、映画の中は
あくまでも明るく、その一点に辿り着くまでは、ちょっと変
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11月30日(水)
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