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On the Production
by 井口健二
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■ピーナッツ、スタンド・アップ、バトル7、Mr.&Mrs.スミス、イヌゴエ、ホテル・ルワンダ
にも力を入れて欲しいと思ったところだ。なお、映画の最初
には‘a Teruyoshi Uchimura Film’と書かれており、この
冠詞の使い方は正しい。                
                           
『スタンド・アップ』“North Country”         
シャーリズ・セロン、フランシス・マクドーマンド共演で、
アメリカ北部の鉄鉱山を舞台に実際に行われたセクシャルハ
ラスメント訴訟の裁判を追った社会派ドラマ。『クジラの島
の少女』のニキ・カーロ監督作品。           
映画の最初にテロップが出て、年号は正確には覚えていない
が、アメリカでは1970年代に男女の雇用機会の均等化が憲法
で保障されたが、その時に今回の映画の舞台となる鉄鉱山で
採用された女性は1人だけ、そして映画の背景となる1980年
代の末になっても雇用者の男女比は30:1だったと明記され
る。そんな鉄鉱山での物語だ。             
物語の主人公は、元々がシングルマザーで、その後に結婚は
したが夫の暴力に絶え切れず、2人の子供と共に故郷である
鉄鉱山の町に帰ってくる。その彼女の父親は長年鉄鉱山で働
いており、娘が同じ職場で働くことは快く思っていない。 
しかし、労働組合の会合にも代表として出席する先輩女性の
紹介もあって、彼女は普通の女性の6倍の給料が得られると
いう鉄鉱山に務めることとなる。それは女手一つで2人の子
供を育てるためには絶対に必要なことでもあった。    
ところが職場では、女性が同等の仕事をすることにに対して
快く思っていない男性従業員も多く、また男性だけの職場に
有り勝ちな女性を蔑視する発言や、それを表わすような落書
きもそこら中に氾濫していた。             
それに対して主人公以外の女性従業員たちは、仕方のないこ
とと甘んじており、またそれを会社の上層部に訴えても、自
分たちの立場を危うくするだけと諦めている。そんな中で主
人公は、ただ一人立ち上がるのだが…          
試写会の後で、「あんな裁判どう考えても勝てるだろう」と
いう声が聞かれた。でも時代は1980年代、今とは社会の常識
も違う。そしてここに描かれた裁判が、アメリカでの女性雇
用に関する認識を変化させ、現在の情勢を生み出したという
ことこそが事実なのだ。                
一方、試写会の後で、「会社の女性には見せられないな」と
言う声も聞こえてきた。多分それが日本の現実だろうし、ま
だまだ社会はそんなものだろうということも考えさせられた
ものだ。恐らくアメリカもそれほど変らないのだろうが。 
それにしても、姑息ないじめやセクシャルハラスメントが、
戯画化されているのではないかと思うほどに描かれる作品だ
が、それは実際にあったとしてもおかしくないと考えられる
ものだし、そんな世の中だったとも思えるものだった。  
男性にはきつい作品かも知れないが、男性だって最近は同じ
ような状況に置かれる人は多いと思うし、その意味では男女
を問わず考えて欲しい問題を提起している作品だった。  
なお、セロンとマクドーマンドは、アクション・ファンタシ
ー作品の“Aeon Flux”でも共演しているが、本作はそれと
は別の作品だ。                    
                           
『バトル7』(タイ映画)               
1958年に第1作が製作され、その後の10年以上に渡って何本
もの続編が発表されたというタイ屈指の人気アクションシリ
ーズのリメイク版。本作は、タイでは2002年に公開されて大
ヒットし、2005年には続編が公開されてそれも大ヒットして
いるそうだ。                     
物語の背景はベトナム戦争末期、タイに駐留するアメリカ軍
は密かに枯れ葉剤やナパーム弾の使用を検討し、その準備の
ための武器の輸送を極秘にタイ国内で行っていた。    

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11月29日(火)
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