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On the Production
by 井口健二
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■第99回
対して、止むに止まれなくなったエイヤーが賭けに出たとい
うようにも取れるが、本人は「恐ろしい体験だったが、映画
製作に自分の資金を使ってはいけないという基本ルールを破
ることが、今回は一番のやり方だった」とも発言しており、
その賭けに勝ったということのようだ。なおリメイクの撮影
は、できれば来年夏に行いたいとしている。
因にオリジナルは、第1次世界大戦前夜のメキシコ国境を
舞台に、荒くれ者の盗賊団と戦うロートルガンマンの姿を描
いたものだったが、リメイクされる現代版では同じ国境線で
の麻薬組織とCIAの闘いが背景になるということだ。ただ
し主人公などのキャラクターはオリジナルの設定を活かすと
している。またオリジナルでは、強烈なガンアクションと鮮
烈な血飛沫の描写も話題となったものだが、『トレーニング
・デイ』『S.W.A.T.』の脚本家がどのような映像を造り出す
かも楽しみだ。
* *
続いてもリメイクの情報で、1976年にニコラス・ローグ監
督、デイヴィッド・ボウイの主演で映画化された“The Man
Who Fell to Earth”(地球に落ちてきた男)の再映画化を
ワーナー傘下のインディペンデスで行うことが発表された。
この作品は、ウォルター・ティヴィスが1963年に発表した
同名の小説を映画化するもので、瀕死の惑星から地球にやっ
てきた異星人が、卓越した科学技術で産業を築き上げ、その
資金で故郷の惑星を救おうとするのだが…というお話。オリ
ジナルは、ボウイの哀愁を帯びた表情とそれを食い物にしよ
うとする地球人の横暴さが好対照となる鮮烈な作品だった。
そして今回のリメイクでは、1998年にアリスン・マクリー
ン監督、ビリー・クラダップ、サマンサ・モートン、ジャッ
ク・ブタック、ホリー・ハンター、デニス・ホッパーらの出
演で映画化された“Jesus' Son”などを手掛けるオーレン・
ムーヴァマンが脚色を契約したもので、現代にマッチした新
たな脚色が行われることになっている。製作時期は未定。
因に“Jesus' Son”という作品は、1970年代のドラッグ・
カルチャーを題材にしたもので、不連続なフラッシュバック
などを多用したかなり複雑な構成のもののようだが、評価は
悪くないようだ。また、ムーヴァマンは、『エデンより彼方
に』などのトッド・ハインズ監督の次回作“I'm Not There:
Suppositions on a Film Concerning Dylan”の脚本も担当
しているということだ。
* *
もう1本リメイクの話題で、1985年に発表されたジョージ
・ロメロ監督作品“Day of the Dead”(死霊のえじき)の
再映画化が、スティーヴ・マイナー監督の手で行われること
が発表された。
オリジナルは、言うまでもなくロメロのゾンビシリーズの
第3作で、Night、Dawnときたシリーズがついに昼間になっ
たという作品。オリジナルの物語は、すでに地上のほとんど
がゾンビに支配されてしまった時代を背景に、軍の地下壕で
研究を続ける軍人と科学者たちの姿を描いたもので、そこに
拉致されて研究材料にされているゾンビの知性が研究された
り、何となく交流が始まる雰囲気も漂わせていた。
ただし映画は、後半アクションになっては来るが、前半は
どことなく牧歌的という感じの描写が続くもので、封切りで
見たときにはあまり好印象は持たなかった記憶がある。今見
直すといろいろ発見もありそうな気もするが、当時は“Dawn
of the Dead”の鮮烈なイメージに比べるとちょっとという
感じもしたものだ。
その作品をリメイクする訳だが、監督のマイナーは、『13
金』のパート2や『ハロウィン』の20周年記念作を手掛けて
いる他、『ガバリン』というちんけな邦題で公開されたが、
ホラーコメディの元祖とも呼べる1986年の“House”なども
監督しており、映画のセンスはそれなりの人と考えている。
またリメイクの脚本は、2000年の『ファイナル・デスティ
ネーション』などを手掛けるジェフリー・レディックが担当
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11月15日(火)
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