ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459973hit]
■レジェンド・オブ・ゾロ、ザスーラ、クラッシュ、好きだ、プルーフ、ロード・オブ・ドッグタウン、エンパイア・オブ・ザ・ウルフ
映画化が進められたものだ。
今回のボードゲームの名前は、題名の通りのザスーラ。原作
ではジュマンジの裏側にあったという設定だったようだが、
映画化では別個のゲームとして描かれている。そして、その
ゲームの舞台は、前作のジャングルに替って大宇宙での冒険
が繰り広げられるものだ。
発端は前作同様、大人のいない屋敷で留守番をしていた兄弟
が、ふと見つけ出したゲーム盤を作動させると、彼らは否応
なしにゲームの世界に連れて行かれるというもの。そして家
(地球)に帰るためには、ゲームを最後まで進めなければい
けないのだが…
そこには、流星雨の襲来や暴走するロボット、異星人の襲撃
など、飛んでもない危険が待ち構えている。しかも遊び方を
間違えると、2度と地球に戻れないかも知れないのだ。
前作も相当にお子様向けの作品だったが、今回も前作以上に
お子様向けという感じのものだ。でも、そのお子様向けを、
ここまで丁寧に、そしてお金を掛けて作っているところが、
この作品の価値というものだろう。
何しろ上記の流星雨やロボット、異星人などが次から次に襲
いかかってくる。しかも1時間40分足らずの上映時間の中で
それが全部起きるのだから、これはどんなに飽きっぽい子供
でも最後まで目を離せないという感じのものだ。
しかもその異星人やロボットの造形をスタン・ウィンストン
が手掛けていたり、大人のファンにも充分に満足が得られる
水準のものになっている。もっとも、異星人などはちょっと
グロテスクで、幼い子供には刺激が強い過ぎるのではないか
と心配する位のものだ。
一方、ブリキのおもちゃという感じのゲーム盤のレトロさも
よく描かれていて、中で歯車が動いている様子や、チェーン
によって駒を移動させる仕組みなども、手抜きなく本当に良
く考えられているという感じのものになっていた。
なお、監督のジョン・ファヴローには、パラマウントで進め
られているE・R・バローズ原作『火星』シリーズの映画化
に起用の情報もあるが、この水準で作れるのなら期待したく
なる。子供は子供らしく、大人は童心に帰って、存分に楽し
みたいと思える作品だ。
『クラッシュ』“Crash”
初冬のロサンゼルスを舞台に、交通事故が引き起こす様々な
出来事を描いたアンサンブルドラマ。『ミリオンダラー・ベ
イビー』の脚色でオスカーノミネートを果たしたポール・ハ
ギスの原案・脚本・製作による自身の監督デビュー作だ。
深夜フリーウェーで起きた接触事故。その事故に巻き込まれ
たロサンゼルス市警の黒人刑事グラハム(ドン・チードル)
は、その現場で偶然発見された若者の死体に目を奪われる。
そこには、前日の午前から始まる長い連鎖の物語があった。
登場人物は、黒人刑事の他には、ブレンダン・フレーザーと
サンドラ・ブロックが演じる地方検事夫妻。テレンス・ハワ
ードとサンディ・ニュートンが演じる黒人TVディレクター
の夫妻。マット・ディロン演じる人種差別主義者の白人ベテ
ラン警官とその相棒の若い巡査。
その他、ウェストウッドを徘徊する若い黒人の2人組や、ア
ラブ人と間違われて店を荒らされ続けているペルシャ人の親
子、その店の錠の修理に来た黒人の錠前屋の一家など…いろ
いろな人物が交錯して、最後の物語へと進んで行く。
映画では、白人警官による黒人ディレクターの妻への暴行な
ど、アメリカの抱える病巣とも言える姿が次々に描かれる。
その描き方は、これがアメリカの現実だと主張しているよう
なリアルさで辟易するほどだが、その現実から目を逸らすこ
とは到底できない。
[5]続きを読む
11月14日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る