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On the Production
by 井口健二
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■イエスタデイ・ワンスモア、ミリオンズ、コープスブライド、ビッグ・スィンドル、旅するジーンズと・・・、ビタースイート、探偵事務所5
本作でも、主人公の弟は宗教的な観点から悪いことだと言い
はするが、警察に届けようという話しはほとんど出てこなか
った。もっともニューオルリンズでは警察が率先して略奪を
しているのだから話にならないが、本作はイギリス映画で多
少は違うのではないかと思えるところだが…       
しかしそういうところを除けば、本作ではいろいろと悩む弟
が実に愛らしく、一方、その弟を守ろうとする兄の姿も凛々
しくて、なかなか良い感じの兄弟愛の物語と言える作品だ。
因に監督は、「自分の子供たちに堂々と見せられる作品」と
称しているようだ。                  
前作の『28日後...』からは180度方向転換したような作品だ
が、監督の次回作は本格SFになりそうで、それもまた期待
したいものだ。                    
                           
『コープスブライド』“Corpse Bride”         
人形アニメーションの最高作と言われた1993年の『ナイトメ
アー・ビフォア・クリスマス』で原案、製作を担当して以来
12年、ティム・バートンが再び挑んだ人形アニメーションの
最新作。今回のバートンは、製作に加えて自ら監督も手掛け
ている。                       
物語の舞台は19世紀のヨーロッパ。とある片田舎の町で裕福
な商人の息子と没落貴族の娘が結婚することになる。それま
で面識のなかった新郎新婦だったが、2人は結婚式の前日の
リハーサルで初めて顔を合わせて、即座に互いを気に入るこ
ととなる。                      
ところが新郎は、緊張のあまり結婚の誓いの言葉もまともに
述べられない。そして厳格な神父から練習を命じられ、言い
つけ通り一人森をさ迷いながら練習していた彼は、誤ってそ
の誓いの言葉を、その場に埋められていた死体の花嫁に捧げ
てしまう。                      
しかもこの誤解によって、新郎は生きたまま死者の国に連れ
て行かれる。果たして2人はめでたく結婚できるのか、そし
て死体の花嫁の運命は…                
元はロシアの民話に基づくもののようだが、これがバートン
の手に掛かると、死者の国が妙にカラフルで活気があり、そ
こに登場するいろいろな死体にも愛嬌がある。いや、もちろ
ん死体なのだからグロテスクではあるのだが…      
『ナイトメアー…』のハロウィンの国と同様、ちょっと無気
味な異形のキャラクターたちが大活躍を繰り広げる物語だ。
そしてこの新郎新婦の声をジョニー・デップとエミリー・ワ
トスン、死体の花嫁の声をヘレナ・ボナム=カーター、さら
にクリストファー・リー、アルバート・フィニーらが共演。
なお作品はミュージカル仕立で、ボナム=カーターとフィニ
ーは歌も歌っている。                 
因にデップの録音は、『チャーリーとチョコレート工場』の
撮影と並行して行われたということだが、昼間は子供たちと
ちょっと傲慢なウィリー・ウォンカを演じて、それが終ると
夜は臆病な新郎の声に切り替えなければならず、かなり大変
だったようだ。                    
また、初めての声だけの出演については、先日の『チャーリ
ー…』での記者会見の席で、「演技なしで声だけで演じるの
は大変だったが、空気の中から演技をつかみ出してくるよう
な感じで、貴重な体験だった」と語っていた。      
人形アニメーションの製作の大変さはいまさら述べるまでも
ないが、1日掛かって1〜2秒分と言われる大変な作業が、
見事に結実した作品と言えそうだ。           
ただ、映画の台詞などには、2nd hand shopとか、dead end
とかの駄洒落もいろいろ登場して、この辺は字幕もかなり苦
労しているようだったが、できれば原語を聞き取れると、も
っと面白く楽しめるように感じられるものだ。      

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09月30日(金)
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