ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459827hit]

■第94回
ということで、これには原作者も賛成しているそうだ。
 物語は、ストリープ演じるマーサが、政権内の実情をいろ
いろ喋り過ぎたために政権の崩壊を早めさせたという出来事
に基づいており、彼女を黙らせるために政党関係者が取った
汚い手口が描かれる。そして最後に彼女は子供を連れて夫の
許を離れることを余儀なくされるというものだ。またベニン
グ演じるヘレンは、マーサの発言をいちいち否定する役割を
演じることになる。
 マーサ自身は、現在でもかなりエキセントリックな人物だ
ったと評されているようだが、その真実はどうだったのか、
ストリープは“The Manchurian Candidate”(クライシス・
オブ・アメリカ)でもかなりエキセントリックな政治家の母
親を演じていたが、マーサの真実がストリープの熱演でどの
ように描かれるかにも興味を引かれるものだ。
 ただし、現在のマーフィは総指揮を務める人気テレビシリ
ーズ“Nip/Tuck”の第3シーズンがスタートしたところで、
映画の製作はそれが一段落する来年春になるようだ。
        *         *
 続いては、この夏公開の“Herbie: Fully Loaded”(ハー
ビー/機械じかけのキューピッド)が予想通りのヒットとな
ったアンジェラ・ロビンスン監督の次回作が、ニューライン
で製作されることになった。
 この作品は“Genbot”と題されているもので、彼女とアレ
ックス・コンドライキーが共同で執筆したオリジナル脚本を
映画化するもの。物語は、一人の若い女性が、政府の秘密計
画によって自分の身体がサイボーグに作り替えられているこ
とに気付き…というちょっとSFチックなお話で、ジャンル
はアクション・コメディとなっている。
 なおこの計画では、ロビンスンは本来はディズニーとの間
で優先契約を結んでいるものだが、本作に関しては、ディズ
ニー側が内容的にちょっとダークで自社の基準に合わないと
判断して優先権を放棄したもの。ところがその結果は、各社
の争奪戦となって、ニューラインが7桁($)の契約金で権
利を獲得したということだ。
 因にロビンスンは、2004年サンダンス映画祭で話題となっ
た長編監督デビュー作の“D.E.B.S.”も、若い女性が主人公
のアクション・アドヴェンチャー・コメディということで、
その路線に沿った新作は各社の注目の的だったようだ。また
本作の製作は、ロビンスンが、“Almost Famous”(あの頃
ペニー・レインと)の製作者のリサ・スチュアートと、“50
First Dates”(50回目のファースト・キス)の製作者の
ラリー・ケナーと共に設立したピンク・サンダーというプロ
ダクションで行うもので、新会社の第1作となるものだ。
        *         *
 1998年に“American History X”で物議を醸したイギリス
出身のトニー・カイ監督が、“Paranoia”という作品で再び
ハリウッドに挑戦することになった。
 物語は、広告会社の女性重役が金曜日に職場を離れてから
日曜日までの2日間の記憶を失い、その間に起きた殺人事件
の容疑者にされる。その嫌疑を晴らすため彼女は、その間の
記憶と失ったハンドバッグを求めて、行動の再構築を始める
というもの。この内容に、さらに“Sixth Sence”的な捻り
があるということだ。
 “Catch Me If You Can”や“I,Robot”などの製作総指揮
を担当したマイクル・シェインのアイデアから、これから公
開される“Dirty Deeds”などのティーン・コメディを手掛
けているジョン・ランドが脚本を書き、シェインとパートナ
ーのアンソニー・ロマノが製作も務める。インディーズでの
製作だが、すでに資金の調達は出来ているということだ。
 ところで、エドワード・ノートンとエドワード・ファーロ
ングの共演で映画化された“American…”は、南カリフォル
ニアの小都市を舞台に、路上に集う若者たちの過激な生態を
スタイリッシュに描き切ったもので、その映像の見事さと共
に、そこに描かれた強烈な内容は見るものを震撼とさせたも

[5]続きを読む

09月01日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る