ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ステルス、SHINOBI、ボム・ザ・システム、あそこの席、@ベイビーメール、TKO HIPHOP、ヘッドハンター
かし、現代劇ばかり撮ってきた監督の初時代劇には、不安も
つきまとうものだ。                  
時代背景は徳川初期。戦国の世が終わり太平の世に向かう中
で、戦国時代に活躍してきた忍者たちの存在は、目の上の瘤
になりつつあった。                  
そこで忍者たちをまとめてきた三代目服部半蔵は、初代半蔵
が取り決めた伊賀甲賀不戦の契りを破棄し、それぞれの精鋭
5人ずつを闘わせて、その勝者により徳川の世継ぎを決める
と宣告する。                     
つまりそれは、伊賀甲賀の忍者を占いの道具とするというこ
とだが、生死を賭けたその戦いの裏には、これにより伊賀甲
賀の精鋭たちを一気に壊滅させる意図も隠されていた。  
一方、伊賀の隠れ里・鍔隠れと甲賀の隠れ里・卍谷は境を接
し、そこではそれぞれの頭領の跡取りと目される朧と弦之介
が密かに愛を育んでいた。そしてそれぞれの精鋭5人の中に
選ばれた2人は、お上の命ずるままに戦いを余儀なくされる
のだったが…                     
他の精鋭忍者たちに、椎名桔平、黒谷友香、沢尻エリカ、虎
牙光揮らが扮し、特殊効果やVFXも織り交ぜた戦いが展開
する。                        
まあ、時代劇といっても忍者ものは、特別に侍の作法などが
出てくる訳ではないから、監督にとってはそれほど難しいも
のではない。                     
それでその分をアクションに力を注げる訳だが、本編全体の
上映時間が100分程度では、そつなく纏められているとは言
うものの、ちょっと物足りなさも残る。この辺は製作予算と
の関係もあるのだろうが、ちょっと悔しい感じもした。  
物語自体は山田風太郎なのだし、元々が講談調で、最近は劇
画化もされているような物語だから、これで良しという感じ
だろう。ここに重厚さなどは求めるつもりはない。    
また、若手俳優たちの演技もそれ相応という感じがした。た
だ、家康や天海などにベテランを配した割りには、若手との
違いを余り感じられなかったのは、ちょっと不満に感じた。
御前披露に始まる両忍法の術の描き方は、それなりに見応え
があったし、隠れ里の景観にも良い雰囲気があった。VFX
でこれだけの表現ができるのなら、忍法ものはもっと作られ
ても良いという感じも持ったものだ。          
                           
『ボム・ザ・システム』“Bomb the System”       
MC、DJ、ブレイクダンスと並び、4大ヒップホップカル
チャーの一つと言われるグラフィティ(市中の落書き)のア
ーティストを主人公にした青春映画。          
ウディ・アレン、ラース・フォン・トリアー、ジム・ジャー
ムッシュ監督らの作品にも起用されているインディーズ系の
若手俳優マーク・ウェバーが、自らの製作・主演で作り上げ
た作品。                       
主人公は、グラフィティ・アーティストの先駆者だった今は
亡き兄を敬愛し、その跡を継いで、今では新聞などでも取り
上げられるようになってきた気鋭のアーティスト。しかしグ
ラフィティは本来法律に触れるものであり、彼の生活は常に
警察との闘いの中にある。               
そして完成された作品は、発見されれば直ちに当局によって
消去され、残るのは名声だけという刹那的な芸術だ。そんな
中で主人公たちは、今日もグラフィティを行う壁を求めて都
会を彷徨する。                    
実は見るまでドキュメンタリーと誤解していたのだが、多分
物語は実話に基づいていると思われ、その物語をドキュメン
タリー調の映像で見事に再現している。またこのドキュメン
タリー調の手法が、見事に作品にマッチしているとも言える
ものだ。                       

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08月14日(日)
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