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On the Production
by 井口健二
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■第92回
 ただしバーグには、同じユニヴァーサルで、マイクル・マ
ン製作による“The Kingdom”という計画が先にあり、それ
に続けて本作を希望しているということだ。脚本は、両作と
もジョン・ロマノが担当することになっている。因にロマノ
は、フィリップ・ロスの原作で、フィル・ノイスが監督する
“American Pastoral”という作品の脚色も担当している。
        *         *
 アルフォンソ・キュアロンの後を継いだシリーズ第4作の
“Harry Potter and the Goblet of Fire”(ハリー・ポッ
ターと炎のゴブレット)が今秋公開されるマイク・ニューウ
ェル監督の次回作として、今年のアカデミー賞作品賞受賞作
『ミリオンダラー・ベイビー』を手掛けたアル・ルディーの
製作による題名未定の西部劇の計画が発表されている。
 この作品は、『ビッグ・ウェンズデー』『コナン・ザ・グ
レート』の脚本監督や『地獄の黙示録』の脚色なども手掛け
たジョン・ミリウスのオリジナル脚本を映画化するもので、
1910−17年のメキシコ革命直後の時代を背景に、アメリカ原
住民で元海兵隊員の賞金稼ぎの主人公が、アメリカ人の資産
家女性の依頼を受けて、行方不明になった馬を捜すというも
の。これだけ読むとロマンティックな話にもなりそうだが、
ミリウスの脚本ということは、かなりハードな大人の物語に
なりそうだ。
 そしてこの計画は、元々はユニヴァーサルで進められてい
たものだが、いろいろな都合で放棄されたもので、それをル
ディーが引き継いで実現を目指すということだ。ただしユニ
ヴァーサルは権利の一部を残していて、アメリカ国内の配給
権は同社が優先権を持っているようだ。
 因に、ミリウスが執筆した元の脚本の題名は、“Wanted:
Dead or Alive”と付けられていたもの(ハードそうだ)だ
が、この題名は故スティーヴ・マックィーン主演の往年のテ
レビシリーズ(拳銃無宿)と同じなので変更が検討されてお
り、そのため現在は題名未定ということだ。
        *         *
 “The Passion of the Christ”(パッション)で昨年度
全米興行成績で第3位を記録、全世界では6億ドルを稼ぎ出
したメル・ギブスンが再び監督する計画で、“Apocalypto”
という作品を今年10月にメキシコで撮影開始、2006年夏に公
開することが発表された。
 そしてこの製作では、『パッション』とほぼ同額(2500万
ドル)と言われる経費は全てギブスン主宰のIconが用意し、
完成された作品の配給権のみをオークションに掛けて争奪戦
が行われたもので、アメリカ国内はディズニーが権利を獲得
したようだ。因に、製作は全部自前で配給権のみ契約すると
いう方式は、過去にはジョージ・ルーカスが“Star Wars”
の前日譚シリーズで行っているだけのものだそうだ。
 なお、争奪戦には他に、フォックス、ワーナー、パラマウ
ントなどが参加した模様で、実際には公開時に各社が行う宣
伝プロモーションの費用などで争われたようだ。またフォッ
クスとワーナーは、さらにギブスンの出演契約なども求めた
ようだが、資金の潤沢なギブスンはそれを排し、『身代金』
や『サイン』で組んだことのあるディック・クックが代表を
務めるディズニー社との間で契約を結んだものだ。
 ということで、来年の夏にはギブスンの新作が全米公開さ
れることになった訳だが、この作品、事前の発表では古代文
明を背景にしたものということで、恐らくは紀元前の古代文
明を描いた作品だろうと言われていた。因に、題名はギリシ
ャ語で、「ベールを取る(unveiling)」または「新たな始
まり(new beginning)」という意味なのだそうだ。 
 ところが実際は、500年前の中米マヤ文明を背景にしたも
ので、しかもギブスンが執筆した脚本の始めには、「以下の
台詞は英語では話されない」と記されている。実は『パッシ
ョン』も、字幕では判らないが古代アラム語の台詞だったも
ので、このやり方はその踏襲ということになるが、それにし

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08月01日(月)
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