ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■キャプテン・ウルフ、真夜中のピアニスト、蝋人形の館、800発の銃弾、ヘイフラワーとキルトシュー、ふたりの5つの分かれ路
る。しかし本作の脚本を手掛けたトニーノ・ブナキスタはオ
リジナルが気に入らなかったのだそうで、その辺が修正され
ての本作となっているようだ。             
ということで、本当はここでオリジナルとの比較をできると
良いのだが、残念ながら僕はオリジナルを見ていない。従っ
てその比較はできないが、本作だけで見ると実にフランス映
画らしい人間味に溢れた作品になっていた。       
ここであえてフィルム・ノアールと呼ぶ気はないが、非合法
すれすれの世界で生きる主人公の悩みもうまく描かれている
し、その一方で、ピアノを必死に練習する主人公の姿にも好
ましい雰囲気があった。                
僕自身、小学生の頃にピアノを習っていたことがある。と言
っても、妹に教えに来ていた家庭教師に、ついでに教えられ
ていた程度のものだったが、映画の中でレッスンを受ける主
人公の様子には、何となく自分ことも思い出して懐かしくも
あった。                       
また、このレッスン教師が東洋人の留学生という設定になっ
ているのだが、その雰囲気も良い感じだった。正直なところ
は、もっとレッスンのシーンが長くても良いような感じもし
たくらいのものだ。                  
といっても、点描のように描かれるこのシーンによって、主
人公の別の顔も際立たせられているもので、この辺の長さの
バランスが一番良いというところなのだろう。      
主演はロマン・デュリス。彼はこの後には『ルパン』の公開
があるようだ。                    
                           
『蝋人形の館』“House of Wax”            
1933年公開のフェイ・レイ主演作品“Mysterly of the Wax
Museum”を、1953年にヴィンセント・プライス主演でリメイ
クした作品(肉の蝋人形)のさらにリメイク。1933年のオリ
ジナルには、史上初の現代を舞台にしたホラー映画という歴
史的意義があるそうだ。                
ということで今回のリメイクでは、物語はさらに現代化され
て、アメリカンフットボールの観戦に向かう若者たちが、ふ
と立ち寄った町で事件に巻き込まれることになる。    
カーナビにも出てこないような寂れた町。そこには、教会や
ガソリンスタンドや映画館など共に、なぜか立派な蝋人形館
があり、ごく自然な感じの人々の生活を再現した蝋人形が飾
られている。しかしその町の街路には人影がほとんど無い。
そして、切れたファンベルトの替えを求めて立ち寄った若者
たちに、恐怖の体験が待ち受ける。           
まあ、よくある巻き込まれ形ティーンズホラーのパターンと
いうことにはなるが、さすが3度も映画化されただけのこと
はあって、その無気味な雰囲気や、いろいろ仕込まれた仕掛
けには、楽しめるものが一杯という感じの作品だ。    
特に蝋人形館の無気味さには、他では到底出せない特別なも
のがある。蝋人形館は、世界各地に作られているが、そのい
ずれにも恐怖がテーマのコーナーが設けられているのは、元
来そういう雰囲気があるからなのだろう。この作品はそうい
う特性を存分に活かしている。             
出演は、『24』のエリシャ・カスバートと、やはりテレビ出
身のチャド・マイクル・マーレイ、それにホテル王ヒルトン
の令嬢パリス・ヒルトン。因にヒルトンの演技は、まあ話の
種にはなるという感じだ。               
しかし、そういったことを凌駕するのが、クライマックスの
VFXの見事さ。元々この作品では、蝋人形の溶けるシーン
が売り物になるが、これが現代のVFXを駆使するとここま
で描けるのかというくらいの豪華さで、これは大いに満足で
きるものだった。                   
製作は、ロバート・ゼメキス、ジョール・シルヴァ主宰のダ

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07月31日(日)
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