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On the Production
by 井口健二
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■さよならCOLOR、青空のゆくえ、空中庭園、チャッキーの種、銀河ヒッチハイク・ガイド、アイランド、奥様は魔女
特殊なことをやっている訳でもなく、ごく普通の子供たちの
お話。何かテーマがあれば物語も作り易いが、この作品はそ
うではない。それでもこれだけの物語がある。そんなところ
にも魅力を感じる作品だ。
出演は、主人公に映画初出演の中山卓也。彼を取り巻く少女
たちに森田彩華、黒川芽以、多部未華子、悠城早矢、西原亜
奇。他の男子生徒に、佐々木和徳、三船力也、橋爪遼。  
いずれも1986−89年生まれで、新人といってもCMやドラマ
などの演技経験を積んでいる子達が多く、すでに他の映画で
主演の子や顔を見るとおやと思う子もいた。個性も豊かで、
今見ておくとこれからが楽しみなメムバーとも言えそうだ。

『空中庭園』
角田光代原作の婦人公論文芸賞受賞作の映画化。
東京郊外の団地に住む一家の物語。一家の住む部屋にはルー
フテラスがあり、そこには母親が丹精を込めた空中庭園が作
られている。そして一家は、家族の間に秘密を持たない主義
で、高校生の娘と息子にも、彼らを身籠もった過程まであか
らさまに話すほどの開放された家庭だ。
しかしその実体は、父親は2人の女性と不倫を重ねており、
娘も息子も登校はせず街をふらついている。そして母親は、
家族の前でも周囲の人々の前でも、いつもにこやかに振舞っ
ているのだが、実はこの母親には、家族に絶対言えない秘密
があった。
そしてある日、母親がパート先の同僚の若い女性に、彼女の
母から聞いたという高校時代の忌わしい思い出を暴露された
辺りから、この家族の関係が崩壊し始める。母親は、自分の
忌わしい過去から逃れるために理想の家族を作ろうとしてい
たのだが…
昨年の韓国映画『誰にでも秘密がある』ほどではないにして
も、どんな家族にでも互いに家人に言えない秘密はあるもの
だろう。しかしこの一家の場合は、秘密を持たないという約
束があるがゆえに、一層歪んだ秘密になってしまっている。
しかし、どんな秘密があろうと無かろうと、結局のところ家
族は家族なのであって、そんな「理想の」家族の現実が、ダ
ークなユーモアを彩りにして描かれて行く。そしてその戯画
化によって、現代社会における家族の一面が見事に描き出さ
れた作品と言えそうだ。
出演は、母親に小泉今日子、長女を鈴木杏。また大楠道代、
ソニン、永作博美といったちょっと癖のある顔ぶれが脇を固
めている。中でも小泉のいつも作り笑いを浮かべている表情
が、物語全体に無気味な感じを与えて、見事な世界を構築し
ていた。
小泉はアイドルと呼ばれていた時代から、ちょっと他の同年
代の女性タレントとは違う感じの人だったが、『踊る大捜査
線 THE MOVIE』でのハンニバル・レクターのパク
リ以外の何者でもない役柄を演じた辺りから芸風が広がった
感じで、本作でもいい味を出していた。
そして演出も、要所で血糊をたっぷりと使用するなど、かな
り過激な描き方で、この異常だけれど普通な物語を見事に描
き出している。万人向けの作品とは言えないかも知れないけ
れど、映画らしさという点では満足できるし、特に結末の演
出は見事だった。

『チャッキーの種』“Seed of Chucky”
1988年に始まった“Child's Play”シリーズの第5作。 
このシリーズは1991年までに3作が作られたが、そこで一時
中断。その後1998年に、ウッディ・アレン監督の『ブロード
ウェイと銃弾』で1994年度のオスカー助演賞候補にもなった
女優ジェニファー・ティリーを迎えた“Bride of Chucky”
で復活し、今回はその後を受けた7年ぶりの新作となる。
そして今回の物語は、チャッキーと前作の花嫁ティファニー
との間に生まれた子供が、その後に行方不明となりイギリス
で腹話術の人形となっているところから始まる。その子供は
自分の手首にあるMade in Japanの刻印から、両親は日本人
だと思っているが…
一方、女優のジェニファー・ティリーはチャッキーの惨劇の
“実話”の映画化に主演しているが、オスカー候補の実績も
あり、ウォシャウスキー兄弟の監督デビュー作“Bound”に

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07月14日(木)
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