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On the Production
by 井口健二
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■第90回
なお、ガンの原作と、“X Minus One”で放送されたラジ
オドラマの音源は、インターネット上の電子出版のサイトで
有料ダウンロードが可能になっているようだ。
以上で事務連絡は終りにして、以下はいつものように製作
ニュースを紹介しよう。
* *
日本では1961年に『南海漂流』の邦題で公開された1960年
製作のディズニー作品“Swiss Family Robinson”のリメイ
クが、ジョナサン・モストウの監督で計画されている。
この原作は、1743−1818年にスイスで生涯を送ったヨハン
・デイヴィッド・ウィースという人が執筆したもので、牧師
でもあったウィースが、自分の4人の息子のために語って聞
かせた物語が基になっているということだ。従って、物語の
成立は18世紀ということになりそうだ。お話は、4人の息子
を抱えたスイス人の一家が新天地オーストラリアへの移住を
目指して航海を始めるが、途中で船が難破して絶海の孤島に
流れ着き、そこでのいろいろな苦労を重ねる内に家族の絆を
深め、また息子たちも成長して行くというもの。なるほど、
息子たちに読み聞かせたという感じのお話だ。
そしてこの原作は、ハリウッドでは戦前から繰り返し映画
化が行われており、戦前では、1940年にRKOで、翌年『市
民ケーン』を同社で発表するオースン・ウェルズがナレーシ
ョンを担当した作品が製作されている。また、上記のディズ
ニー作品は、後に『素晴らしきヒコーキ野郎』や『バルジ大
作戦』を撮るケン・アナキンの監督で、アニメーション合成
などの特殊効果を活かしたアクションで評価が高い。なお、
ディズニーランドに設けられているアトラクションのツリー
ハウスは、この作品に由来したものだ。
この他、1958年にはパティ・デュークの主演によるテレビ
版があるそうだし、1975−76年のシーズンには、アーウィン
・アレンの製作、マーティン・ミルナーの主演によるテレビ
シリーズも作られている。また1965−68年に、やはりアレン
が製作したテレビシリーズの“Lost in Space”(宇宙家族
ロビンソン)が、この原作からインスパイアされた作品であ
ることは言うまでもないところだろう。
そして今回の計画は、1960年ディズニー版のリメイクを、
『T3』のモストウ監督で進めるもので、因にモストウは、
60年版が子供の頃に大好きだった映画の1本なのだそうだ。
また製作者のトッド・リーヴァーマンも、このようなイヴェ
ントムーヴィには、モストウのような才能が欠かせないと期
待を膨らませている。
なお、今回のリメイクでは、製作者とディズニーとの話し
合いの結果、背景を現代にするということで、グレッグ・ポ
ワリエールの脚本から、『ブレーキ・ダウン』と『U−57
1』でもモストウに協力した脚本家のサム・モンゴメリーが
リライトを行っている。ただし、配給を担当するブエナ・ヴ
ィスタの首脳からは、原作通りの時代背景に戻す可能性も示
唆されているそうだ。
一方、モストウ本人も、2002年8月15日付第21回で紹介し
ている“Tonight, He Comes”が、ウィル・スミスの主演で
コロムビアで進み始めており、また“Terminator 4”の計画
も、『T3』を手掛けたマイクル・フリアースとジョン・ブ
ランケイトの脚本待ちという状態だそうで、これらが先に進
行する可能性はあるようだ。
従って計画の実現には、まだ多少時間が掛りそうだが、子
供が夢見るようなファンタシーが一杯に詰まった作品には、
大いに期待を持ちたいところだ。
* *
お次は、ちょっと意外なところから登場してきた話題で、
25年前の1980年に亡くなった俳優スティーヴ・マックィーン
の遺品の中から、彼が生前映画化を夢見ていた作品の1700ペ
ージに及ぶストーリーボードや覚え書きが発見され、改めて
その実現をワーナーで行うことが発表された。
この作品は“Yucatan”と題されたもので、マックィーン
の息子のチャドと、孫のランス・スローンが遺品の整理をし
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07月01日(金)
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