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On the Production
by 井口健二
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■第88回
続編を製作する意向ということだ。
 1990年の作品は、ベイティの他にマドンナやアル・パチー
ノ、ダスティン・ホフマンらが共演、全米興行では1億ドル
を達成して同年の第9位にランクされ、ガイドブックなどの
評価も高いものだったが、ベイティが希望した続編の製作に
は配給元のディズニーがOKを出さなかった。この結果、続
編も見込んで準備を行っていたベイティの許には3000万ドル
の負債が生じたということだ。しかし今年になって、ディズ
ニーは配給に伴ってベイティから譲渡されていた各種の権利
を返却し、ベイティはディズニーの許可なしに続編の製作を
できることになった。
 そこで最後の関門がトリビュート社となる訳だが、実は同
社とディズニーの間では同原作のアイスショウの上演権がベ
イティとは無関係に結ばれており、それとの関係が多少問題
として残っているようだ。このためベイティは裁判に訴えて
その権利の所在を確認しようというもので、別段これでこと
を構えようというものではない。できれば裁判が早期に決着
して公明正大に続編が作られることを望みたいものだ。
 ただ、僕個人の印象としては、前回の映画化は原作コミッ
クスに忠実であり過ぎたために、ちょっと予想と違う感じが
した。実際僕が予想したは、テレビアニメーションに基づく
もので、もっとアクションが多いものと思っていた。しかし
最終的にアメリカでの評価の高さを見ると、やはりアメリカ
では原作コミックスの印象が勝っているもので、その点では
僕は自分の評価を変えなければいけないようだ。
 続編が公開されたら、今度はそういう見方で見ることにし
たいと思う。
        *         *
 お次は、“Dogville”に続く“Manderlay”がカンヌ映画
祭で公開されたラース・フォン・トリアー監督のアメリカン
トリロジーで、最終話となる第3作“Wasington”(原綴り
のまま)の計画が発表され、主人公のグレース役にニコール
・キッドマンが復帰することが報告された。
 このシリーズでは、元々は第1作でグレースを演じたキッ
ドマンが3作全てに主演することが計画されていた。しかし
第2作の撮影直前にキッドマンは降板を表明し、替って第2
作の主演はブライス・ダラス・ハワードが演じていた。とこ
ろが第3作の準備段階でフォン・トリアー監督と話し合った
キッドマンは、第3作に再登場することを決意、一方、同様
の話し合いを監督と持ったハワードも出演を希望して、第3
作では2人がグレースの役を分割して演じるということだ。
 この3部作は、壁のないセットや暗幕だけの背景など、元
来が極めて実験的な作品ではあるが、これにさらに1人の主
人公を2人の女優が演じるということでは、まさに前代未聞
の実験映画になりそうだ。ただし監督は、この状況を取り入
れるために脚本の執筆にはさらに多くの時間が必要だとして
おり、また監督には、来年撮影の別の計画も進行中というこ
とで、第3作の撮影は早くて2007年からになるようだ。
        *         *
 続いて、トム・クルーズ主演のシリーズ第3作“Mission:
Impossible 3”が7月にイタリアで撮影開始されることが
発表された。
 この作品では、昨年の夏に監督がジョー・カーナハンから
J・J・エイブラハムズに交替されて、一から計画が再構築
されていたもので、予定より1年近く遅れてようやく撮影開
始となるものだ。
 そして今回の発表では、共演者としてジョナサン・リス=
メイヤースと、ヒロイン役にミシェル・モナハンの起用が発
表されている。因にリス=メイヤースは、2002年の『ベッカ
ムに恋して』に出演しているが、今年のカンヌ映画祭で上映
されたウッディ・アレンの新作“Match Point”にも主演し
ているということで、若手の有望株のようだ。
 一方、本作では、先に出演が予定されていた女優がすべて
キャンセルされたことでも話題になったが、それに替るヒロ
イン役のモナハンは、2004年6月15日付第65回で紹介したジ

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06月01日(水)
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