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On the Production
by 井口健二
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■ナチュラル・シティ、50回目のファースト・キス、バースデー・ウェディング、ジャマイカ/楽園の真実、ダンシング・ハバナ、理想の女
日に持ち越せない、短期記憶喪失障害となっていた。そんな
彼女を周囲が気遣い、彼女は以来毎日を事故当日の日曜日と
して暮らしていたのだ。
そんな彼女に本気の恋をしてしまった主人公は、彼女に毎日
新しい恋を仕掛けることになるのだが…彼女の周囲の人々は
彼女を守ろうとし、一方、彼の周囲も研究の夢を捨ててまで
のそんな恋はあきらめろと忠告する。
正直に言って、短期記憶喪失障害の問題は、アルツハイマー
などとの関係もあって微妙な感じの題材だし、興味本位に扱
われては困るものだが、本作ではその点の扱いも細かく神経
が行き届いている感じで、さすがにハリウッドの作品という
感じのものだ。
もちろん映画は主人公の悪戦苦闘が中心となるものだが、そ
こに描かれる彼女の周囲の人々の様々な気遣いの有り様が切
なくて、特に後半はスクリーンが曇ってしまうことも多かっ
た。そしてそんな困難の中を敢然と進んで行く主人公が見事
に描かれていた。
2人の周囲の人々のキャラクターもよく描かれている(彼女
の弟役のショーン・アスティンがサムワイズ並の献身ぶりを
見せるのも良い感じだ)し、獣医という職業柄登場する海洋
生物の愛らしさもうまくアクセントになっている。
前にも書いたかも知れないが、サンドラーのコメディ作品は
アメリカでは大ヒット(ほとんどの作品が1億ドル前後の興
行を記録)するものの、日本人の感覚になかなか合わないよ
うな気がする。特にファンタシー系の作品は僕自身、最悪と
感じているものも多くある。
しかし本作は、サドラーの作品ではベストのものと僕は考え
る。また本作は、舞台が日本人には馴染みの深いハワイであ
るし、短期記憶喪失障害は最近の映画ではいろいろ登場して
いるテーマということで、日本人にもアピールしやすい作品
と言えそうだ。
『バースデー・ウェディング』
日テレ系『全日本仮装大賞』のADや最近では『東京湾景』
等にも携わっているという田澤直樹監督の映画デビュー作。
父子家庭で育った女性の結婚式の前夜、娘は父親の礼服のポ
ケットに仕舞われた自分の幼い頃のヴィデオテープを見つけ
る。そこには、自分と遊ぶ母親の最後の姿と、自分に宛てた
メッセージが収録されていた。
1時間13分という上映時間には、正直に言って長編映画とし
ての資格はないのではないかと思う。一般公開はレイトショ
ーということで、それなら逆にこれくらいの長さの方が適当
という感じもするが、やはり充分なドラマの描き込みは難し
い。
そんな条件の中で、この作品は観客を泣かせるという単目的
では良く作られた作品と言えるだろう。もちろん極めてあざ
とい作品で、最後などは見え見えで泣きに持ち込まれるもの
だが、まあそれも作品の目的ということでは認めざるを得な
いところだろう。
ただ、作り方が余りにストレートで、捻りも仕掛けもないと
ころがちょっと物足りなくも感じられるもので、まあ予算の
関係とか上映時間の制限とかあったのだろうが、何かもう少
し工夫が欲しかった感じもする。
また、父親役の俳優は若い頃との対比を撮りたかったのだろ
うが、どちらもがちょっと老け過ぎな感じでイメージが合わ
なかった。確かに男手一つで娘を育てたらこんな風になって
しまうかも知れないとは思うが、本来ならもう少し若い姿で
はないかと思う。
まあ、監督は映画デビュー作ということで、こんなもんかな
あというところだろう。次回作に期待したい。
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05月30日(月)
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