ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459640hit]

■第87回(後)
知れないというニュアンスのようだ。
 因に原作は、イギリスで出版されたばかりで、アメリカで
は6月に刊行予定のもののようだが、大晦日に出会い、自分
らの救いを求めて一緒に暮らすようになった4人の男女が、
多難なクリスマスを過ごす姿を描いた作品ということで、以
前の作品でも、人生の困難に直面した人々を軽妙なタッチで
描いてきたホーンビイの期待の新作ということだ。
 そしてこの原作についてデップからは、「この本には、今
までに楽しみながら読んだ作品の中では、最も多くの素晴ら
しいキャラクターが溢れている。映画化が生み出す可能性は
計り知れない」とのコメントが寄せられていた。
 なお、キングとデップは2004年10月15日第73回で紹介した
“Shantaran”の計画も、デップの主演作としてワーナーで
進めている。この計画は、ブラッド・ピット、ブラッド・グ
レイ、それにジェニファー・アニストン主宰のプランBとの
提携で進められていたものだが、今回の報道にも題名が上が
っており、現在も計画は生きているようだ。
        *         *
 もう1本ワーナーからは、『マイノリティ・リポート』を
手掛けた脚本家のゲイリー・ゴールドマンが、1959年に出版
されたカート・シオドマク原作のSF作品“Skyport”の映
画化を進めることが発表された。
 シオドマクは2000年に亡くなっているが、1902年の生まれ
で、小説では1943年に発表した“Donovan's Brain”(ドノ
バンの脳髄)が日本にも紹介されている。この作品は1944年
に“The Lady and the Montter”の題名で映画化され、さら
に53年と62年にもリメイクが行われているもので、68年には
続編の“Hauser's Memory”(ハウザーの記憶)という小説
も出版されている。
 その一方で、シオドマクは主にユニヴァーサルの脚本家と
しても有名で、その中の1941年製作“The Wolfman”では、
ウェールズの伝説に基づいて、満月を見ると変身するなどの
基本設定を作り上げた人物とも言われている。
 そのシオドマクの“Skyport”という作品は、日本での紹
介の有無は不明だが、衛星軌道上に宇宙都市を建設しようと
する科学者たちの姿を描いたもので、ちょうどスペースシャ
トルの運行も再開されて、国際宇宙ステーションの建設が進
む今の時期には良い題材と言えそうだ。ただし、ゴールドマ
ンは、この原作の中の災害が発生する状況に注目していると
いうことで、1974年のワーナー作品『タワーリング・インフ
ェルノ』のような作品にしたいと語っているようだ。
 映画化には、250本以上の映画化権を管理していると言わ
れるIntellectual Properties Worldwide(IPW)という
会社が関係しており、同社の社長が製作を務めるとのこと。
またゴールドマンの脚本では、ニコラス・ケイジ、ジュリア
ン・モーア共演で、リー・タマホリが監督する“Next”とい
う作品が、この秋の撮影予定でリヴォルーションで進められ
ている。
        *         *
 以下は続報で、
 まずは、このページの2001年11月1日付第2回で紹介した
アルフォンソ・キュアロン監督の“Children of Men”が、
ユニヴァーサル製作、クライヴ・オーウェン主演で実現され
ることになった。
 この作品は、イギリスの女流作家P・D・ジェイムズの原
作を映画化するもので、人類が子孫を残せなくなった未来を
背景にした物語。この世界で、18歳の地上最年少者の死亡が
報道され、そのショックで人類が混乱する中、20数年ぶりに
妊娠した女性の存在が明らかになる。その女性を巡る物語と
いうことで、オーウェンが演じるのは彼女を守る男性の役。
ただし、彼が妊娠の原因ということではないようだ。
 因にキュアロンには、先にフォックスから、M・ナイト・
シャマラン監督が降板した後の“Life of Pi”という作品の
オファーもあったようだが、長年温めてきた作品との関係で
は、さてどうなるだろうか。
 一方、オーウェンは、『クローサー』に続いて、アメリカ

[5]続きを読む

05月16日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る