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On the Production
by 井口健二
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■肌の隙間、トラブルINベガス、楳図かずお恐怖劇場、ハッカビーズ、0:34、ヒトラー、逆境ナイン、about love
しかもこの死ぬ役には、監督や、『マイ・ビッグ…』の製作
に力を貸したトム・ハンクスらもカメオ出演していて、死に
方にもいろいろ手を込ませるなど、かなりブラックなユーモ
アに彩られている。
しかし、カルチャーが背景にあるユーモアより、ブラックな
ユーモアの方が万人に判りやすいもので、しかも被害者がそ
っくりさんに限定されているから、話も明解で屈託なく笑う
ことができた。僕としては、今のところ今年一番笑えた作品
と言えそうだ。
なお、主人公の母親役でアンジー・ディキンスンの登場が懐
かしかった。
『楳図かずお恐怖劇場』
「プレゼント/DEATH MAKE」
漫画家楳図かずおのプロデビュー50周年ということで企画さ
れた、それぞれが60分前後の作品6本からなるシリーズの内
の2本で、監督を、『魁!!クロマティ高校』の山口雄大と、
VFXアーティストの太一が担当している。
実は時間の関係でシリーズの全作品を見ることはできなかっ
たが、この2本に関して言えば出来はかなり良かった。
特に、聖夜に不謹慎な行動を繰り広げる若者たちへのサンタ
クロースからの鉄鎚を描いた前半の作品は、物の見事なスプ
ラッターでその描き方も見事なら、物語の途中から視点が変
る構成も秀逸だった。
山口監督については、『クロ高』のときにも観客の期待通り
のものを造り出すバランス感覚の良さを感じたが、この作品
でも、見せるべきものがちゃんと描かれている心地よさが感
じられた。
また、後半の作品は、降霊実験が引き起こす飛んでもない事
態をCGIの合成などVFX満載で描いたもの。実は、試写
の時点ではVFXが未完成で、普段の僕なら未完成で試写を
するなと怒るところだが、これだけでもすでに良い感じで見
られたものだ。
正直に言えば完成品をちゃんと見て評価したかったところだ
が、それでもこれだけの期待観が生まれるのは大したものと
も言えるだろう。
玉石混淆の6本になりそうだが、この2本はとりあえずお勧
め。ただし山口監督作品のスプラッターは覚悟が要ります。
『ハッカビーズ』“I ♥ Huckabees”
原題の真中はunicodeで入れたので、PCの環境によっては出
ないかも知れませんが、ハートマークです。この部分、海外
のデータベースではHeartとなっていたが、Loveと読むので
はないのかな。
1999年公開されたジョージ・クルーニー主演の戦争コメディ
『スリー・キングス』で高い評価を受けたデイヴィッド・O
・ラッセル監督の6年ぶりの新作。ラッセルの製作脚本監督
というワンマン映画だが、製作には『クローサー』などのベ
テラン製作者スコット・ルーディンも名を連ねている。
一方、出演者には、ジュード・ロウ、ナオミ・ワッツ、ダス
ティン・ホフマン、リリー・トムリン、マーク・ウォールバ
ーグ、それにフランスからイザベル・ユペールという多彩な
顔ぶれが集まっている。
題名のHuckabeesとは、顧客のあらゆる満足を手頃な価格で
提供するスーパーマーケットチェーンの名前。その店舗がと
ある町に進出することになって巻き起こる反対運動などのす
ったもんだが描かれる。
この反対運動を、『シモーヌ』などのジェイスン・シュワル
ツマン扮する主人公の若者が始めるのだが、その運動は、ロ
ウ扮する白い歯を見せるキラースマイルが決め手のチェーン
の営業マンに、徐々に懐柔されて行ってしまう。
そこで若者は、ホフマンとトムリンが演じる「哲学探偵」に
依頼して自分自身の間違いを探ることにするのだが…それは
ウォールバーグ扮する消防士や、ワッツ扮するキャンペーン
ガールをも巻き込んで、飛んでもない事態へと発展して行く
ことになる。
物語は、この「哲学探偵」なるものがキーワードで、ホフマ
ンが実に怪しげな理論を展開して主人公たちを煙に巻く。そ
してこの理論には、ユペール扮するフランス人思想家が対決
することになるが…
それにしてもこの対立する理論が、どちらもいい加減としか
言いようのない代物でありながら、聞いていると何となく納
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05月14日(土)
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