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On the Production
by 井口健二
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■スカーレット・レター、ライフ・アクアティック、サハラ、魁!!クロマティ高校、やさしくキスをして、ピンクリボン
かった。本作も前作もアメリカでは相当の興行成績を記録し
ているようだが、どうも文化的な面で僕には理解できないも
のがあるようだ。                   
そんな訳で、本作も多少引き気味で見に行ったものだが、今
回は完全な理解とは行かないものの、前作よりは判りやすか
った感じがする。まあ、前作も背景となる事実があったよう
だが、本作は、その部分が僕にとって多少身近だったせいも
あるかも知れない。                  
物語は、映画祭で上映された新作が散々の評価だった主人公
が、その作品に決着を付けるべく次回作の製作に乗り出すの
だが、すでに出資者も着かなくなり始め、製作は困難を極め
る。そこに息子だと主張する若者や、科学雑誌のレポーター
も乗り込んで来るが…                 
文化的な違いを感じると言えば、チャーリー・カウフマンの
作品なども同じだと思うのだが、僕にとってカウフマンは認
められてアンダースンが駄目というのは、多分その底に流れ
る人間味だと感じている。               
例えば『エターナル・サンシャイン』でも、僕は登場人物た
ちへ注がれる愛情が好ましいと感じたものだ。それに対して
アンダースンの作品では、前作も本作も何となく登場人物た
ちを突き放している感じがする。            
もちろんそれは意図的なものだし、それを評価する人が多い
のも理解する。ただ、僕自身は、アンダースンよりカウフマ
ンの方が好きというだけのことだ。           
という次第だが、本作ではその他に、チネチッタスタジオに
建設された船の断面を見せる見事なセットや、『ナイトメア
・ビフォア・クリスマス』などのヘンリー・セリックが手掛
けた人形アニメーションによる不思議な海洋生物など見所は
多数ある。                      
また主役のビル・マーレイ以下、オーウェン・ウィルスン、
ケイト・ブランシェット、アンジェリカ・ヒューストン、ウ
ィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、バッド・コー
ト、マイクル・ガンボンという一癖も二癖もある怪優・奇優
の共演も見事だった。                 
そして僕自身は、多分同じ監督の前作よりは好ましいと感じ
ているものだ。                    
                           
『サハラ』“Sahara”                 
クライヴ・カッスラー原作によるダーク・ピットシリーズか
らの久々の映画化。                  
因にこのシリーズからは、1980年に“Raise the Titanic”
がイギリスで映画化されているが、この作品には原作者が激
怒したということで、以来25年間、映画化が拒否されて来た
のだそうだ。という訳で、ファンには待望の映画化の実現に
なったようだ。                    
実は、今回の映画化が発表されてから原作本を読み始めた。
しかし、全体の4分の1ほど読んだところで、あまりの暴力
シーンの多さに辟易して読むのをやめてしまったものだ。実
際、その部分まででは、登場人物など主要な駒は揃うが、そ
れらの横の繋がりが出てこないという状態だった。    
従って、今回は試写を見て、それらの横の繋がりが理解でき
た訳だが、正直に言うと原作より映画の方が巧く整理されて
いて、原作の過剰な描写が割愛された分だけスッキリと判り
やすく、良い作品になっていたような感じがした。    
といっても、原作がベストセラーということは、この作風が
評価されているということなのだろう。となると、映画は原
作の読者には物足りない感じになっているかも知れない。し
かし長編小説の映画化は所詮ダイジェスト版にしかならない
訳で、その辺は了承してもらわなくてはならないところだ。
それと、やたら都合良く偶然が重なってしまう展開は、原作

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04月29日(金)
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