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On the Production
by 井口健二
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■リンダ・リンダ・リンダ、フォーガットン、デンジャラス・ビューティー2、リチャード・ニクソン暗殺を企てた男
を夫の細工と信じ込んだ彼女は夫を詰るが、夫は彼女に、妊
娠はしたが流産で、息子は生まれなかったと言い始める。 
愛した相手の喪失と、それに関わる記憶の問題は、公開中の
『エターナル・サンシャイン』でも描かれているが、本作は
それとちょうど反対の物語で、その点で興味深かった。  
というところで、以下はネタばれになります。      
実は、この作品のアメリカでのジャンル分けはSFになって
いる。つまり、一般の観客には呆気に取られるような展開が
この後に待ち構えているのだが、正直に言ってSFファンの
立場からすると、この展開ではちょっと物足りない。   
逆にSFにしないでいてくれたほうが、もっと凄いものにな
ったのではないかとも思ってしまうが、それは無い物ねだり
かな…ただし、そこに盛り込まれたいろいろな仕掛けは、ス
カイカムや小型のフライカムを駆使した撮影の見事さもあっ
て、素晴らしい迫力で描かれていた。          
また、ソニー・イメージワークスでケン・ラルストンが手掛
けたVFXも効果的だった。              
例によって日本では、本作はSFとしては売られないことに
なっている。それは仕方のないことではあるが、やはりこの
ような作品がSF映画として正当に評価されることを希望し
たい。僕のサイトを読みに来てくれる人なら、この点は理解
していただけると信じて、あえて記しておく。      
                           
『デンジャラス・ビューティー2』           
      “Miss Congeniality 2: Armed and Fabulous”
2000年に公開されたサンドラ・ブロック主演作の続編。前作
でミスアメリカ・コンテスト爆破計画を、見事な活躍で未遂
に終らせたFBIの潜入捜査官グレイシー・ハートが、今回
はラスヴェガスで凶悪なミスアメリカ誘拐犯に立ち向かう。
物語は、前作からはあまり日時の経っていない時点から始ま
る。そして、前作の事件で顔の売れてしまったグレイシーに
は、大好きな潜入捜査もままならないという状況。しかも、
事件を切っ掛けに付き合い始めた刑事からは別離を言い渡さ
れて、落ち込む一方なのだ。              
そこで、上司の勧めもあってFBIの顔としての広報活動に
従事することを決意したグレイシーは、ベテランスタイリス
トの指導のもと、見事な容姿に変身。自伝を出版したり、テ
レビのトークショウに出演したりと、セレブな生活を始める
ことになるが…                    
そんなときラスヴェガスでミスアメリカの誘拐事件が発生。
グレイシーはFBIの顔として現地に赴き、記者会見のスポ
ークスパースンを務めることに…しかし彼女自身は、前作で
親友となったミスアメリカの救出作戦に従事したくて仕方が
ない。                        
ところがラスヴェガス本部の捜査員たちは、彼女の存在を煙
たがるばかり、そして…                
正直に言ってつまらない作品ではないと思う。しかし何と言
うか、多分やり過ぎで、しかもその整理がうまく付いていな
い、そんな感じの作品だ。               
例えばニューヨーク本部詰めの主人公が、ラスヴェガスの事
件に派遣される。この状況というのは、ラスヴェガス側に言
わせれば迷惑至極なわけで、現地の捜査担当者との確執が生
じるのは当然のことだ。                
ところがこの映画では、その肝心の部分がうまく描けていな
いから、単に現地の担当者は主人公の妨害ばかりしている全
くの無能に見えてしまう。他の部分も同じようなもので、脚
本はちゃんとしているのに、何か描き方がずれている、そん
な印象を持った。                   
本作の製作総指揮も務めるサンドラ・ブロックのいいところ
を出し切ろうとする努力で、ブロック自身は大車輪の活躍を

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03月31日(木)
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