ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459569hit]
■迷宮の女、バタフライ・エフェクト、英語完全征服、ダニー・ザ・ドッグ、ラヴェンダーの咲く庭で、コックリさん
それなりの仕事ではあったということだろう。
泣き笑いのバランスもうまく構成されているし、謎解きも見
事、特に結末は拍手ものだ。アメリカでリピーターが出たの
も理解できる。
なお日本公開は、SF/ファンタシー系の路線では宣伝され
ない予定だが、その手の映画のファンには特に満足してもら
える作品のように思えた。
『英語完全征服』(韓国映画)
原題はハングルだが、漢字表記は邦題と同じものだそうだ。
英会話学校を舞台に、女性主人公の恋愛騒動を描いた有りが
ちのコメディ作品だが、これにアニメーションや合成も取り
入れて、相当の作品に仕上げられている。
主人公は役所の窓口係。ある日、窓口に来た外国人に誰も対
応できず、上司から役所を代表して英会話学校行きを命じら
れる。そしてやってきた完全征服が売り物の学校だったが、
初心者のクラスは多士済々、その目的もまちまちだ。
そんな中で、主人公はプレイボーイ気取りのセールスマンに
心を引かれ、勉強への意欲も増すのだったが、彼の方は金髪
の女性教師が目当てで彼女にはつれない。そして勘違いや、
誤解の積み重ねで物語は進行して行く。
まあドタバタではないけれど、日本で言えば吉本か松竹新喜
劇のような関西風のノリの物語が展開する。これにアニメー
ションや合成が取り入れられて、笑いあり涙ありの映画とし
てはなかなかの出来という感じだ。
韓国映画の良さは、昔の日本映画の良いとこ取りというのは
以前にも書いたと思うが、この作品にもそんな良さが感じら
れた。それ以上でも以下でもないけれど、見ている間は楽し
めるし、意外とタップダンスのシーンなどがしっかりしてい
るのは気に入った。
『ダニー・ザ・ドッグ』“Danny the Dog”
中国出身のカンフースター=ジェット・リーと、先日のアカ
デミー賞で助演男優賞受賞のモーガン・フリーマンの共演に
よるアクションに彩られた人間ドラマ。
脚本はリュック・ベッソン、監督は『トランスポーター』の
ルイ・レテリエが担当した。
リー扮する主人公ダニーは、子供の頃に拉致され、ボブ・ホ
スキンス扮するギャングの男に闘士として育てられた。普段
は首輪をしておとなしいダニーだが、一旦その首輪が外され
ると、彼は殺人マシンとなって闘犬のように相手に襲いかか
る。
しかしある日、骨董品の置かれた倉庫で出番を待つ内に、フ
リーマン扮する盲目のピアノ調律師に巡り会う。そしてその
人間性に触れる内、彼の人生が変わり始める。
映画では、巻頭と最後に大掛かりな武闘シーンがあり、中間
にもいくつかの武闘シーンが用意されている。これらの振り
付けは、『マトリックス』がユエン・ウー・ピン担当し、見
事なアクションが展開する。
しかし、映画の全体はアクションに流されることなく、見事
な人間ドラマを描いている。そして演じられるアクションに
も、それぞれに違う意味が持たせられ、それに合わせて演じ
方も微妙に変化して行く。このあたりのバランスが見事な作
品だった。
また、台詞は全編英語なのだが、リーの役柄は外界から隔離
されて成長したという設定で、喋りがたどたどしいというの
も、巧いとしか言いようのない設定だった。
実は、試写会の翌日にリーの記者会見があり、その席でリー
は、初めて役作りをしたと語っていた。確かに今までのリー
が演じた役は、どれもただ強いだけの男で、ただアクション
さえできれば良く、その意味では役作りなど必要がなかった
[5]続きを読む
03月14日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る