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On the Production
by 井口健二
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■第82回
社が巻き返したと言うこともできるかも知れない。おかげで
ミラマックス配給の“The Aviator”などが割りを喰ったと
も言えそうだ。
 なお、長編アニメーション賞は“The Incredibles”、ま
たオリジナル脚本賞は“Eternal Sunshine of the Spotless
Mind”となっており、これも順当という感じだ。それから
5本の候補が全てSF/ファンタシー系で気になった作曲賞
には“Finding Neverland”が選ばれた。ジョニー・デップ
主演のこの作品は7部門で候補になっていて、候補の数では
“The Aviator”に次ぐものだったが、アメリカではミラマ
ックスが配給しており、上記の状況があるとすれば、1つぐ
らい取っておくのが順当というところだろう。
        *         *
 以上でアカデミー賞の講評は終わりにして、以下は定例の
製作ニュースを紹介することにしよう。
 まずは、昨日付の映画紹介に掲載した“Hitch”(最後の
恋のはじめ方)が、ロマンティック・コメディ映画史上最高
のオープニング成績、しかも2週連続の週末興行成績第1位
という大ヒットを記録したウィル・スミスの主演で、ちょっ
と捻ったスーパーヒーロー物の計画が進められている。
 計画されている作品の題名は、“Tonight, He Comes”。
実はこの計画については、2002年8月15日付の第21回でも一
度紹介しているが、落ちぶれたスーパーヒーローが一般市民
との生活の中で自分を取り戻して行くという物語。以前の報
告では12歳の少年との交流が中心となるとされていたが、今
回の情報では主婦との恋愛が描かれるということで、映画の
企画も2年半も経つといろいろ進化するようだ。
 オリジナルは、6年ほど前にヴィンセント・ンゴという脚
本家が発表したもので、以来、映画化されていない優秀脚本
の一つとして各所で話題に上っていた。そして前回報告した
時点では、このオリジナル脚本を、『ビューティフル・マイ
ンド』でオスカーを受賞したばかりのアキヴァ・ゴールズマ
ンが再構築し、ゴールズマンの製作で、『ブレア・ウィッチ
・プロジェクト』などのアーチザンが映画化するとなってい
たものだ。また当時の報道では、監督候補にトニー・スコッ
トの名前が上がっているともされていた。
 しかし、スコットの名前は早々に消えたようで、その後は
『コラテラル』などのマイクル・マン監督の線で企画が進め
られていた。ところがアーチザンでは充分な製作体制が取れ
ないことが判明し、結局同社は製作を断念してしまった。 
 これに対してゴールズマンは計画を続行、マン監督も製作
者に引き入れ、ついには『ターミネーター3』のジョナサン
・モストウを監督として起用することに成功する。そして監
督に決まったモストウは、新たに10ページの概要を作成して
スミスに提示。これを見たスミスが、映画への主演を了承し
たというものだ。
 そして、この配役が決まった時点で再度映画化権の交渉が
行われ、映画各社の争奪戦の末、スミスとの関係の深いコロ
ムビアが権利を獲得している。なお、この争奪戦にはフォッ
クスも参加しており、同社はアーチザンが断念した後、最も
熱心にゴールズマンに働きかけをしていたということだが、
先週の“Hitch”の大ヒットが生まれた直後に、コロムビア
との契約がなされたということだ。
 計画は現在、ヴィンス・ギリガンという脚本家が、モスト
ウの意向に合わせたリライトを行っている段階。因にギリガ
ンは、“The X-Files”の脚本家/プロデューサーの他、マ
ンが製作総指揮を務めたテレビシリーズ“Robbery Homicide
Division”などの脚本も担当しているそうだ。
 なお、この企画は、スミスもモストウも次回作とはしてい
ないものだが、ハリウッド情報によると、2006年のクリスマ
スシーズンの公開が期待されているということだ。
        *         *
 お次は、またまたシリーズ物の計画で、テリー・ブルック
スという作家によってすでに第5巻までが発表され、2006年

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03月01日(火)
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