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On the Production
by 井口健二
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■最後の恋のはじめ方、フィーメイル、コンスタンティン、ZOO、レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語、ブレイド3、帰郷
してしまうことになるが、姫野=篠原作品は、地元を離れた
女性が里帰りで過去を振り返るお話。室井=廣木作品は、男
運のない3人の女性の話。唯川=松尾作品は、婚期を逃した
女性がふと手に入れた神秘の香炉を巡るファンタスティック
な物語。乃南=西川作品は、小学生男子の性の芽生えの話。
小池=塚本作品は、ちょっと意味ありげな男と女のお話とな
っている。
この中では、唯川=松尾の作品が自分のテリトリーに一番近
いし、その意味で興味もひかれた。
そこでこの作品を中心に書くことにするが、まず松尾監督は
前作『恋の門』でも見事に無邪気な演出を見せてくれて感心
したものだ。その演出ぶりは今回も健在で、恐らく、既成の
監督ではここまではできないだろうという演出を見事にやっ
てくれている。
お話は、唯川の書いた通りのものだとすると、今回のテーマ
を離れても成立するものとも思えるが、逆に松尾監督は、こ
れをエロスというよりポルノに近い演出で成立させてしまっ
た。それを意図したかどうかは判らないが、これはちょっと
凄い。
それにしても主演の高岡早紀は、本当にここまでやっちゃて
良いのかなあ、という感じの熱演。本作のR−18指定は、こ
の一編だけでなったのではないかと思うほどだ。テーマが女
性の妄想だから内容も凄いし、結末もいろいろ想像させる面
白さがあった。
他の作品も、少なくとも4人の男性監督の作品は、それぞれ
個性が出ていて面白く見られた。一方、西川監督については
本来の作風は判らないが、本作は女性らしい素敵な感性の作
品として見られた。
母体となっているのは、Jam-Filmsという短編映画のシリー
ズ企画で、これは第1作だけ以前に見ているが、それに比べ
ると、本作は中心になるテーマがあるせいか纏まりも良かっ
たし、各編の水準も高く感じられた。こういう企画は今後も
続けて行って欲しいものだ。
『コンスタンティン』“Constantin”
DCコミックス刊行のグラフィックノヴェルを原作として、
キアヌ・リーヴスの主演で映画化したアクション作品。
現世は地獄と天国の境界に位置している。しかし天国の住人
は現世に入ることができず、また地獄の住人も現世には入れ
ない。地獄、天国から現世に入ってこれるのは、ハーフ・ブ
リードだけだ。ところが、そんな現世への地獄からの干渉が
頻繁になり始める。
主人公は悪魔を見分ける能力を持ち、その宿命から逃れよう
とたった2分間だけ成功した自殺のために天国へ行くことを
拒否されている男。しかし彼は、同時に見てしまった地獄の
姿に恐怖し、天国へ切符を得るために、神の命じるままに、
地獄からの侵入者を元の場所へ送り戻す任務に着く。
そんな彼は、優秀な悪魔払い師として神父からの信頼も厚か
ったが、頻繁な喫煙のために肺ガンを患い、余命1年と診断
されていた。そんな彼が、神の目に留まる最後のチャンスを
得るために、地獄からの最大の難敵と戦うことになる。
近着の海外ニュースによると、ローマ大学に悪魔払いの講座
ができたそうだ。同じ記事では、年間20件程の悪魔払いが現
実に行われているという。それでなくても、現世が地獄の干
渉を受けているという設定は、今の世の中を見ていると妙に
説得力があるものだ。
そんな設定の物語だが、現世と地獄を行き来するリーヴス演
じる主人公には、どうしても『マトリックス』のネオのイメ
ージがつきまとう。しかしこの作品は、ある意味でそれも利
用して作られているという感じもするものだ。
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02月28日(月)
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