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On the Production
by 井口健二
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■第78回
“Splinter Cell”という作品について、その映画化権をパ
ラマウントが獲得したことが発表された。
この作品は、“スティルス”アクションと呼ばれるジャン
ルで最も成功したゲームの一つと言われるもので、政府機関
のスパイでサム・フィッシャーという名前の主人公が、敵と
なる国際的なテロリスト組織の本部に侵入し、その機密など
を盗み出すことを目的とするもの。当然、罠や迷路などの仕
掛けられた中を、知性と勇気を持って切り抜けて行く姿を描
いたものということだ。
そしてこのゲームシリーズでは、すでに初編の“Splinter
Cell”と、続編の“Splinter Cell: Pandora Tomorrow”の
2作が発表されて全世界で600万本を売り上げ、さらに今年
3月に第3作の“Splinter Cell: Chaos Theory”が発表さ
れる予定になっている。
この映画化権を、Jack Ryanシリーズも手掛けるパラマウ
ントが獲得したもので、同社では、昨年公開されたザ・ロッ
ク主演『ランダウン』などのピーター・バーグ監督と契約し
て映画化を進めるとしている。なお、映画の製作にはクラン
シーのマネージャーのマイクル・オーヴィッツが当り、バー
クとクランシー、それにゲームの出版元の代表を務めるイヴ
・ギージャモウが製作総指揮を担当する。
また契約で、バーグは本作の脚色も担当するが、それには
ヴィデオゲーム作家のJ・T・ペティと、ジョン・J・マク
ローリンも共同執筆の形で参加するということだ。つまり、
この契約では、バーグとクランシーがかなり隅々まで目を光
らせることになるが、これは以前にJack Ryanの映画化を巡
って、クランシーとパラマウントの間で一時確執が生じたこ
とに対する予防策のようだ。
因に、Jack Ryanシリーズの映画化に関しては、2004年の
第61回でも紹介した“Red Rabbit”と、そこからスピンオフ
される“Without Remorse”と“Rainbow Six”の計画が進め
られているが、この内の“Rainbow Six”は、元々はヴィデ
オゲーム形式で発表されたもので、今回の計画がうまく行け
ばそちらにも拍車がかかりそうだ。この他にクランシー原作
のゲーム作品では“Ghost Theory”というのもあるようだ。
なおバーグ監督は、マイクル・マンの製作でユニヴァーサ
ルが進めている、中東が舞台のスパイアクション作品“The
Kingdom”にも起用が発表されている。
* *
今年は『バットマン』、来年には『スーパーマン』と続く
ワーナーから、またまたDCコミックス原作のスーパーヒー
ロー映画化の計画が発表された。そのスーパーヒーローの名
前は“The Flash”。
“The Flash”は、1939年の年末(日付は1940年1月)に
第1巻が発行されたというから、上記の2シリーズとほとん
ど同時期に誕生したシリーズだが、今まで映像化はされてい
なかったようだ。因に1938年開始の“Superman”は、Action
Comics、1939年開始の“Batman”は、Detective Comicsに
掲載されたものだが、“The Flash”はFlash Comicsという
自らの名前の冠された連載誌に掲載されたものだ。
物語は、本名をジェイ・ガリックという中西部の大学で化
学を学んでいた学生が、深夜一人で行っていた実験中に謎の
液体から分離された蒸気を吸い込んで昏睡、数週間後に目覚
めるが、そのとき彼には、動くことも考えることも普通の人
より数倍早いという能力が備わっていたというもの。
やがて彼は、秘密を知る唯一の人物である同級生のジョア
ン・ウィリアムスと結婚し、大学の研究室で光速に関する研
究をしたり、科学警察の研究員や、科学研究所の主任研究員
などの職に就きながら、その能力を正義のために発揮させる
ことになる。また彼は、1940年代に設立されたThe Justice
Society of Americaの初代議長でもあったということだ。
因に、ガリックがThe Flashとして活動するときのコスチ
ュームは、速さの神マーキュリーに準えて、胸に黄色の稲妻
の描かれた真紅のボディシャツと、脇に黄色の線の引かれた
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01月01日(土)
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