ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■きみに読む物語、照明熊谷学校、永遠のハバナ、戦争のはじめかた、ネオ・ファンタジア、シャーク・テイル
では面白く見させてもらった。しかし半歩下がって、このド
キュメンタリーを一般の人が楽しめるかというとちょっと疑
問に思う。                      
ほとんどがインタビューと映像の羅列というのは、余りに芸
が無さ過ぎる。確かに、出演俳優やスタッフ・監督などへの
インタビューで変化は付けられているのだが、何かもっと工
夫があってもいいのではないかと感じた。        
少なくとも都内で行われたロケの現場などは再訪して、その
場で何をしたのかを再現映像を交えて聞く、そんな構成があ
っても良かったのではないかとも思う。音声が充分に取れて
いないところもあり、プロが題材なのにプロの作品ではない
感じがした。                     
題名にある通りの「学校」での教科書としては、良い内容だ
とは思うが。                     
                           
『永遠のハバナ』“Suite Habana”           
各地の映画祭で数々の受賞に輝くキューバの映画作家フェル
ナンド・ペレス監督が、自らの生まれ育ったハバナを題材に
作り上げたドキュメンタリー。政治も何も絡まない現在のハ
バナに暮らす複数の家族の生活が描かれる。       
モロ要塞の灯台の明りが消え、ハバナが朝を迎えるところか
ら映画は始まる。その町での暮らしは楽ではないし、将来に
大きな希望を持つこともできないのが現実。そんな中で人々
は日々の暮らしを続けている。             
病気の息子に寄り添うために、定職をなげうって、就業時間
の短い職に就いた父親や、市場で仕入れたピーナッツを自宅
で煎り、紙筒に詰めて公園で売る老婆。鉄道や壊れかけた家
を黙々と修理し続ける人々。それしかできない人たちの姿が
淡々と描かれる。                   
昼間は黙々と働きながら、夜になるとダンスホールに粋な出
で立ちで出かける人々。そんなことで良いのかと思いながら
も、ラテンの乗りの中で一日が終ってしまう。目標を持って
努力している人もいるが、夢も希望も失ってしまった人もい
る。人は様々だ。                   
でも考えてみれば僕らだって、彼らと同じようなものかも知
れない。そんな共感を覚えてしまったりするところも、この
映画の魅力なのかも知れない。             
                           
『戦争のはじめかた』“Buffalo Soldiers”       
ピュリッツアー賞の候補にもなったロバート・オコナー原作
の映画化。                      
映画は2001年に完成。9月8日のトロント映画祭で上映され
て絶賛を浴び、10日にはミラマックス配給で全米公開が決ま
ったが…。11日以降は、一気に高まるナショナリズムの中で
試写の度に罵声を浴び、2003年まで全米公開ができなかった
という作品。                     
舞台は、1989年の西ドイツ、シュツットガルトの駐留米陸軍
基地。主人公のエルウッドは窃盗の罪で1年の服役か3年の
軍役かの選択を迫られ駐留軍にやってきた男。しかし、もは
や戦争の気配はなく、「戦争は地獄だが、平和は死ぬほど退
屈」という状態。                   
平和ボケの中、軍の上層部は昇進を狙った上官のもてなしパ
ーティに明け暮れ、基地にはドラッグも蔓延している。そし
て主人公は、当然その中を掻い潜って補給物資の横流しやド
ラッグの売買で稼いでいたが…             
ある日、ヴェトナムの勇士だったという曹長が赴任し、基地
内の浄化を始める。しかも、主人公はその曹長の娘に恋心を
持ち、当然父親である曹長の目の敵にされることに…   
『キャッチ22』や『M★A★S★H』などの流れを汲む戦争
コメディだが、舞台は平時の基地、従って戦闘シーンはない

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11月30日(火)
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