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On the Production
by 井口健二
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■オペラ座の怪人、レディ・ウェポン、砂と霧の家、カンフー・ハッスル、誰にでも秘密がある、ULTRAMAN
いが、本作に限ってはベッドシーンやヒロインの乳首が出た
りはするが、エロと言うほどではない。
それよりも見所は、シウトンがその監督も手掛けたアクショ
ンシーンで、ワイアーを駆使したその描き方は、なるほど第
1人者と言われるだけのことはあると言う感じだ。
特に、それぞれの決めポーズから流れるようにアクションに
入って行く演出が見事だし、またアクションごとにカメラ位
置が絶妙に変ったり、アクションが存分に写されているとい
う点も、見ていて気持ちの良いものだった。
お話は、特殊訓練を受けたプロの女性暗殺者と、それを追う
CIAというありがちなものだが、ユーモアも適度に利かせ
て、展開も悪くなかった。ただ、CIAがこういう捜査をす
るかというとちょっと違う感じで、これはインターポールに
でもしておいた方が良かったという感じはしたが…
『砂と霧の家』“House of Sand and Fog”
一軒の家を巡って、一人の女性と亡命者の男性が繰り広げる
人間ドラマ。
主人公の女性は夫に去られ、アルコール依存症を何とか克服
しているが、まだ情緒不安定なところがある。そんな彼女は
無職で無収入だったが、役所の手違いで所得税を課税され、
その確認書の開封を怠ったために、住居が差し押さえられて
しまう。
一方、亡命者の男性は、本国から持ち出した資産で食い繋い
でいるが、その資金も乏しくなり、競売物件を安く手に入れ
て転売で金を稼ごうと考えている。そしてその思い通りの家
の競売の案内を見つけ、その家を手に入れる。
その家は、彼が祖国で栄華を極めていた頃にカスピ海沿岸で
所有していた別荘にそっくりであり、またその転売でかなり
の資金が得られるはずである。しかし、女性の訴えで役所の
手続きのミスが認められ、彼女の弁護士は競売価格での買い
戻しを通告するが…
日本でも競売物件の居座りの話が映画化されているが、この
映画の場合はいわゆる居座りとはちょっと違う。ここではあ
くまでも善意の二人が、役所の手違いで争いに巻き込まれて
しまう。ひょっとしたら自分もそんな目に遭うかも知れない
物語だ。
自分自身、戸建ての家に住むようになると、この主人公たち
の家に対する愛着は痛いように判る。しかもそれは、単なる
建物の家ではなく、そこに刻まれた記憶であり、そこから生
み出される希望なのだ。そのぶつかり合いは、そうそう後に
引けるものではない。そんな物語が、ジェニファー・コネリ
ーとベン・キングズレーの共演で見事に描かれる。
一部には後味の悪い作品という評価もされているようだが、
運命という色合いも濃く描かれるので、僕は純粋な悲劇とし
て捉えられる作品になっていると思う。
なお、監督のヴァディム・パールマンは、この後『タリスマ
ン』の映画化の監督に抜擢されたが、残念ながらキャンセル
されてしまったようだ。
以下は、東京国際映画祭の特別上映作品です。
『カンフー・ハッスル』“功夫”
『少林サッカー』のチャウ・シンチー監督・製作・脚本・主
演による2年ぶりの新作。前作同様、痛快なコメディの中に
見事なカンフーアクションが展開する。
主人公は、幼少の時に「如来神拳」の奥義の本を購入したも
のの、それはインチキで、以来、人間は悪く生きなければい
けないと納得して成長してきた男。文化大革命の陰でワルた
ちが力を付ける中、その中に入りたいと思っているような男
だった。
ところがある日、彼と仲間が訪れた街区には、とんでもない
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10月31日(日)
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