ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■オーバー・ザ・レインボー、ボン・ヴォヤージュ、スカイキャプテン、エメラルド・カウボーイ、エクソシスト・ビギニング
その死体の始末を幼馴染みの作家の男に頼むのだが…。  
やがてパリ陥落が迫り、女優は知遇を得た大臣の力を借りて
ボルドーに脱出。しかしそこには、彼女の罪を被って収監さ
れたが偶然脱獄した作家や、殺された男の遺族。さらには原
爆の材料の重水を抱えてイギリス脱出を願う学者とその助手
なども集まっていた。                 
何しろ多彩な登場人物がしっちゃかめっちゃかな行動を繰り
広げる中、主人公の女優は次々に男を手玉にとって危機を潜
り抜けて行く。これがまたアジャーニの名演技というか、元
来が女優という役だから、それは見事に男を手玉にとって行
くというものだ。                   
この男たちを、重鎮と呼べるジェラール・ドパルデューを始
め、『E.T.』が懐かしいピーター・コヨーテ、さらに新人
のグレゴリ・デランジェールらが演じる。        
脚本、監督はジャン=ポール・ラプノー。彼は、小学生だっ
た当時、実際にパリからボルドーへ逃れた体験を持っている
ということだ。しかし彼は、出来事を深刻に捉えるのではな
く、恐らくは当時の小学生が感じていたままに、ユーモアを
込めて軽快に描いている。               
その監督の想いを見事に表現したのが、アジャーニの演技と
も言えそうだ。                    
他に共演は、ジョニー・デップのゲスト出演も話題になって
いる“Ils se marierent et eurent beucoup d'enfants”の
監督でも知られるイヴァン・アタルや、『8人の女たち』の
ヴィルジニー・ルドワイヤンなど、特に学者の助手に扮した
ルドワイヤンが儲け役で良かった。           
                           
『スカイキャプテン−ワールド・オブ・トゥモロー−』  
       “Sky Captain an the World of Tomorrow”
ジュード・ロウ、グィネス・パルトロー、アンジェリーナ・
ジョリーの共演で、1939年のニューヨークを舞台にした冒険
活劇。                        
1939年、ニューヨーク万博の開かれたこの年のある日、ニュ
ーヨークを始め世界の大都市が突如巨大ロボットの大軍に襲
われる。この事態に、ただちにスカイキャプテンに救援が求
められ、辛くもニューヨークはロボットを撃退するが…。 
ロウ扮するスカイキャプテンは、プレス資料には空軍のエー
スパイロットとあるが、どうもこの空軍は傭兵部隊らしく、
自前の滑走路と整備基地を持っていて、そこでは技術開発も
行われている。                    
一方、ジョリーが扮するのは飛行船の応用で空に浮かぶ空中
空母の女艦長。こちらこそ英国空軍の所属のようにも見えた
が、取り敢えずはこの2人が協力して地球の安全を守ってい
るという設定らしい。                 
そして、この2人にパルトロー扮するスカイキャプテンの元
恋人の新聞記者が絡んでというか、主にはロウとパルトロー
が世界中を股に掛けて、ロボット軍団を操る謎の科学者の陰
謀に立ち向かって行くというお話だ。          
この手の地球を守る個人組織というと、最近ではサンダーバ
ードということになりそうだが、僕の記憶では、子供の頃に
読んだ講談社の全集でアップルトン原作のTom Swiftが好き
だった。1910年代の作品だが、科学と冒険の夢にあふれてい
たものだ。                      
脚本監督のケリー・コンランも、このようなジュヴィナイル
SFにどっぷり漬かって育ったのだろうか。この『スカイキ
ャプテン』にも、そんな子供の頃の夢がぎっしり詰まってい
るような感じがした。                 
なおコンランは全くの新人だが、いきなりこのような大作を
手掛けたもので、次回作にはさらに超大作になるはずのE・
R・バローズ原作『火星』シリーズを任されることになって

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10月13日(水)
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