ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ヴィレッジ、ビハインド・ザ・サン、モンスター、キャットウーマン、バイオハザードII、酔画仙、ブラインド・・、ハッスル、春夏秋冬・・
リーズ・エンジェル/フルスロットル』にも出演したブラジ
ルの新星ロドリゴ・サントロ。             
また、サーカスの若い女性クララを演じたフラヴィア=マル
コ・アントニオが魅力的だった。            
                           
『モンスター』“Monster”               
シャーリズ・セロンがオスカー主演女優賞に輝いた作品。 
1989年11月から90年11月までの略1年間に7人の男性を殺害
したとして91年に逮捕され、内6件の裁判で死刑判決を受け
て、2002年10月9日に処刑されたアイリーン・ウォーレス。
その連続殺人事件の背景を追った物語。         
父親は自殺、母親はアルコール依存などの恵まれない環境に
育ち、13歳の時から売春をしていたというアイリーン。しか
し、ある日一人の若い女性との交流が始まったことから生活
が変り始める。                    
その若い女性セルビー・ウォールは、レズビアンの兆候が見
えたことから、厳格な家を追われ、両親の知人の家に身を寄
せていた。そして巡り会った2人は一緒の生活を始め、それ
を機に、アイリーンは堅気の暮らしをしようとするのだった
が…。                        
刹那的な快楽に溺れ、余りにも愚かな行動を取ってしまう2
人。もちろん彼女たちは特別な存在であるのだが、ただ誰も
が求めるようなほんの少しの欲望が、とんでもない結果を生
み出してしまう、そんな展開の物語だ。         
脚本・監督のパティ・ジェンキンスと、製作者でもあるシャ
ーリズ・セロンは、ウォーレスが獄中で幼馴染みに宛てて書
いた書簡を読み、映画作りの参考にしたということだ。その
書簡を読むことの許可は、ウォーレスが処刑の前夜に出した
ものだとされている。                 
つまり作品は、ウォーレスの側に寄って作られている。しか
し映画は、彼女に同情を寄せることはしていない。もちろん
不幸な生い立ちや、事件の発端が偶然の成せる技だったこと
は描いているが、それよりも彼女たちの愚かさが際立つよう
な構成になっている。                 
実はセロンには、自分の母親が、暴力を振るいセロンらを殺
そうとした父親を射殺したという過去があるそうだ。その事
件は正当防衛として母親に罪は問われなかったそうだが、セ
ロンには自分のせいで母親を殺人者にしたという思いがある
という。                       
はたまた、父親のいない環境に育ったセロンには、自分もウ
ォーレスと同じようになってしまったかも知れないという思
いもあったのだろう。                 
それだからこそ、この自らの女優生命を絶つかも知れないよ
うな究極の汚れ役への挑戦ができたのだろうし、それが彼女
にオスカーをもたらす結果になった。          
なお、共演したセルビー役のクリスチーナ・リッチの存在感
も見事だった。                    
                           
『キャットウーマン』“Catwoman”           
『バットマン』の敵役キャラクターからスピンオフして登場
した作品。                      
テレビシリーズではジュリー・ニューマーやアーサー・キッ
トが演じ、映画版のシリーズでは、『バットマン・リターン
ズ』でミシェル・ファイファーが演じたハリウッド女優の憧
れの的とも言われるキャラクターに、オスカー女優のハリー
・ベリーが挑んだ。                  
正直に言って、アメリカではあまり芳しい成績が上がらず、
ベリーが希望しているという続編も難しいのではないかと言
われている。でも映画の作りは悪くないし、僕には、もう1
本くらいは挑戦して貰いたいと思える作品だった。    

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08月31日(火)
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