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On the Production
by 井口健二
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■LOVERS、珈琲時光、リディック、アラモ、最狂絶叫計画、ティラミス、お父さんのバックドロップ
神田神保町の古本屋街の路地裏や、御茶ノ水駅での中央、総
武、丸の内3線の立体交差、これらは小津全盛の昭和20年代
から存在していたのだった、と今さらながら思い出された。
その一方で、風俗街なども写し出されるが、それも含めて東
京庶民の風景というところなのだろう。
現代の東京を写したということでは、『ロスト・イン・トラ
ンスレーション』が比較の対象になりそうだが、あの訳の判
らない若者の生態より、僕はこの作品の方が納得できた。
なお物語では、ちょっとした出来事はあるが、それでも時は
淡々と流れて行く。その出来事に対する父親の反応には、自
分も年頃の娘を持つ父親として共感するところもあり、全体
として良い感じの作品だった。
『リディック』“The Chronicles of Riddick”
ヴィン・ディーゼル主演の2000年作品『ピッチ・ブラック』
の続編。
前作はディーゼルの出世作の1本だが、彼は、同様の『ワイ
ルド・スピード』『XXX』の続編への出演は断った上で、
本作では自身で製作も買って出て、前作のアンチヒーローを
再演している。
物語は前作の数年後。リディックは身を潜めて暮らす僻地の
惑星で刺客に襲われる。彼の所在を知るのは、前作で助けた
2人だけのはず。彼はその1人の住む惑星を訪れるが、その
惑星は未曾有の危機に直面していた。
その危機とは、全宇宙の支配を狙う暗黒帝国の侵略。そして
悪を制するには悪を以てするとして、リディックに助けが求
められたのだ。そんな要望に応える彼ではなかったが、やは
り前作で助けた少女の行方を追う内に、徐々に事件に巻き込
まれて行くことになる。
前作は一つの惑星が舞台で、暗黒となるその世界でただ1人
暗視の目を持つリディックが活躍したが、本作ではスケール
を大幅にアップして、かなり壮大な物語を展開する。
今回は、暗視の目の効果は期待したほどには発揮されていな
かったが、異常な惑星の風景としては、日の出と同時に生物
を瞬時に焼滅させる焦熱地獄となる惑星が登場。そこでの昼
夜分岐線との競争などのアクションが、見事な迫力で描かれ
ていた。
この他にも、暗黒帝国の侵略の様子や敵の頭目との1対1の
対決なども、VFXを多用して見事に描かれている。また、
リディックに救援を要請する役を、デームの称号を持つ女優
ジュディ・デンチが演じて、物語を引き締めていた。
なお、ホームページの第65回で、監督のデイヴィッド・トゥ
ーイが不規則発言をしたことを紹介したが、上映時間を2時
間前後とする上では、この編集で問題なかったと思う。
トゥーイは、前作『ピッチ・ブラック』の時も、公開後にデ
ィレクターズ・カットを発表しており、今回もその目算があ
っての発言だったようだ。それが発表されたときには、それ
も楽しみたいというところだ。
『アラモ』“The Alamo”
ジョン・ウェインの監督主演で1960年に映画化されたアラモ
砦を巡るテキサスとメキシコの闘いを描いた歴史ドラマの再
映画化。前作でウェインが演じたデイヴィ・クロケット役を
ビリー・ボブ・ソーントンが演じる。
ウェインの描いたアラモでは、西部劇の英雄たちが馳せ参じ
た印象があるが、本作のクロケットは選挙に破れ、テキサス
は平和になっていると思い込んでアラモにやってくる。それ
でも闘いには進んで参加するのだが、毛皮の帽子はイメージ
を作るためだけと称して被らないし、多分真実はこんなもの
だったのだろうと思わせてくれる作品だ。
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07月31日(土)
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