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On the Production
by 井口健二
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■ジャスティス/闇の迷宮、ロード88、IZO、マーダー・ライド・ショー、コウノトリの歌、キング・アーサー
いている。
台詞の端々や設定の端々が、背景の事情や登場人物たちの微
妙な心理を描き出す。そこから物語への想像が膨らむ。さす
がに大ベテランの作品という感じだった。
主人公をヴォーカルグループBOYSTYLEの村川絵梨が演じ、脇
を、芸人=小倉久寛、スタッフ=須藤理彩、津田寛治、中年
男=長谷川初範らが固める。他に、高松英郎、黒田福美、川
上麻衣子。また、空海の化身らしい遍路役で神山繁が登場す
る。
お遍路を描いた映画も、『旅の重さ』や、『死国』なんての
もあったが、四国4県を全てロケした作品は史上初めてなの
だそうだ。かなりの数の寺の風景が実景で写されているのも
良い雰囲気だった。
『IZO』
過激な暴力描写で話題となることの多い三池崇史監督作品。
1865年5月に処刑された人斬り以蔵の名で知られる岡田以蔵
の魂が、時空を超え、現代、過去を駆け巡って天誅を下しま
くる物語。その矛先は、政治家のみならず、官僚、宗教、財
閥、学会、遂にはその背後に居る御方にも向けられるが…。
一応、R−15指定にはなっているようだが、それは多分性描
写の影響と思われ、人斬りのシーン自体は同じ監督の『殺し
屋1』の方が過激だった。斬って斬って斬りまくる映画とい
うことで多少期待したが、今回はあまり奇想天外という訳に
は行かなかったようだ。
しかし、物語として明らかに戦後民主主義を揶揄している辺
りは、ニヤリとさせられる。最後は…だが、これはまあ、い
ろいろ考えれば仕方のないところだろう。もっとも脚本家の
思想が左右のどちら側かは定かでないが。
ただ、主人公のIZOが不死身という設定は判るが、ちょっ
と斬られ過ぎ撃たれ過ぎという感じは持つ。これでは、お互
い異界の存在であるはずの闘いの相手に対して、IZOだけ
が一方的に不死身の感じがして、ちょっと落ち着かない。
もっと神掛かり的に敵の攻撃を受けないようにしても良かっ
た気もするが、それでは監督が狙う血みどろの映像が描けな
かったというところか。
なお斬られ役には、実にいろいろな顔ぶれが登場するが、こ
れで話題になれば、それもそれでよしというところだろう。
『マーダー・ライド・ショー』“House of 1000 Corpses”
ロックバンドWhite Zombiesを率いるミュージシャン、ロブ
・ゾンビが手掛けた長編劇映画の監督デビュー作。
映画は2000年に完成していたが、製作を手掛けたユニヴァー
サルが公開を認めず、監督は権利を買い戻して配給先を探す
が、最初契約したMGMも土壇場でキャンセル。結局、昨年
4月にライオンズ・ゲイト社の手で全米公開されたが、興行
収入はトータル1100万ドルを記録したそうだ。
お話は、旅行中の若者グループが立ち寄った家で、カルト教
団的な殺人集団の餌食になるという、まあ良く有るティーン
ズホラーのパターンの一つ。取り立てて殺しの手口に新奇性
が有る訳でもなく、全米でのヒットは監督個人の人気に拠る
ところが大きいのだろう。
こういう人の作品だからもっとぐちゃぐちゃなものかと思っ
ていたが、思いのほかまともな作りで、映画をそれなりに真
剣に考えている点は認めてあげたい。ただもっと新しいもの
を出さなくては…。
続編の製作も進行しているようだが、2匹目のドジョウがど
れくらい大きいかは、正直に言って開けてみなければ判らな
い感じだ。
なお、殺人集団の母親役でカレン・ブラックが出演。『ファ
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07月14日(水)
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