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On the Production
by 井口健二
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■第65回
人監督がどう捌くかも注目される。ここにハードの後ろ楯は
大いに頼りになりそうだ。
 アメリカ公開は2005年に予定されている。
        *         *
 『オーシャンズ11』で共演し、さらに続編の“Ocean's
12”でも共演しているマット・デイモンとジョージ・クルー
ニーの共演作が、もう1本発表されている。
 作品の題名は、“Syriana”。中東を舞台に、石油の利権
を巡って国際的な陰謀が繰り広げられる『トラフィック』の
ような物語ということで、CIAによる外国政府への介入の
実体が描かれる。元CIAエージェントのロバート・ベアが
著した“See No Evil: The True Story of a Foot Soldier
in the CIA's War on Terrorism”というノンフィクション
本からインスパイアされた脚本ということだ。
 そしてその脚本と監督も手掛けるのは、『トラフィック』
の脚本でオスカーを受賞したスティーヴン・ゲイガン。彼は
昨年公開された『ケイティ』の監督も務めていたが、2003年
11月2日付の紹介文を読んでいただければ判るように、脚本
も演出も巧みで、かなり期待できる感じだ。
 なおデイモンは、今回の作品でアメリカ系石油資本の担当
役員を演じ、クルーニーは原作者でもあるベアを演じること
になっている。
 因に、本作は昨年末にクルーニーのベア役での出演作とし
て発表されていたものだが、今回はそれにデイモンの主演が
追加されたもの。『オーシャン』では脇役に廻らざるを得な
いデイモンへ、クルーニーからのプレゼントというところだ
ろうか。なおデイモンには、上記の続編の他に、これも続編
の“The Bourne Supremacy”と、“The Brothers Grimm”の
公開が今年中に予定されている。
 また、本作はクルーニーとスティーヴン・ソダーバーグが
主宰のセクション8で製作、ワーナーが配給する計画だが、
ワーナーではこの他にも、テロ組織アルカイダによって殺害
されたジャーナリスト、ダニー・パールの未亡人マリアン・
パールが発表した回想録“A Mighty Heart: The Brave Life
and Death of My Husband Danny Pearl”の映画化を、ブラ
ッド・ピットらが主宰するプランB製作で進めており、さら
にヴィデオゲーム“Doom”の映画版の脚本を手掛けたデイヴ
・カラハン脚本でも、同様の中東石油とテロリズムを背景に
した作品が進められているということで、時ならぬ社内での
競作になりそうだ。
 ところで今回の作品の題名は、シリア人というような意味
らしいが、発音がちょっと微妙な感じがするのは、僕だけ?
        *         *
 計画が発表されてから久しい『鉄腕アトム』“Astroboy”
のハリウッド版に動きが出た。
 この計画は1997年に発表され、当時はトッド・オルコット
による脚本も用意されて、一旦は製作のゴーサインも出たも
のだが、その直後にスティーヴン・スピルバーグ監督による
『AI』の計画が発表され、子供の死後に替りのロボットを
作り出すというテーマが似ていることから、同時期に公開す
るのは不利と判断されて頓挫していた。
 その計画が再始動されたもので、今回発表されたのは脚本
家。この脚本に、ザ・ロック主演の映画化も予定されている
“Samurai Jack”や、一昨年劇場版が公開された『パワーパ
フ・ガールズ』などのTVアニメーションを手掛けるジェン
ディ・ターテイコフスキーの契約が報告されている。
 なおこの映画化では、一時は“Dinosaur”などを手掛ける
エリック・レイトンが招請されてオールCGIによる計画も
報告されたが、現在はアニメーションと、アニマトロニクス
と実写の混合による『スチュアート・リトル』のような映画
化が検討されているということだ。この方針について製作者
のドン・マーフィは、「自分は最初からこの方が良いと考え
ていたので、実写に戻ってきたことには大変満足している」
と発言している。
 また製作には、マペッツの創始者の流れを汲むジム・ヘン
スンピクチャーズの参加も発表されている。

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06月15日(火)
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