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On the Production
by 井口健二
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■イブラヒムおじさんとコーランの花たち、トロイ、ヒロイック・デュオ、トスカーナの休日、カーサ・エスペランサ
バランスも見事だった。
ギリシャ一の美女ヘレン役は、『ミシェル・ヴァイヨン』に
も出ていたドイツ出身のダイアナ・クルガー。他に、ブライ
アン・コックス、ショーン・ビーン。またピーター・オトゥ
ール、ジュリー・クリスティらのベテランも共演している。
上映時間2時間40分の大作だが、事前に展開を知っているせ
いかも知れないが、ちょっと短く感じられるくらいだった。
『ヒロイック・デュオ−英雄捜査線−』“双雄”
本土の返還以来、ちょっと勢いの落ちていた香港映画だが、
昨年の『インファナル・アフェア』以降、復活の兆しを見せ
始めたとも言われている。そんな新生香港映画の一篇。
映画の発端は、催眠術によってベテラン刑事が犯した犯罪。
その事件を追う刑事は、殺人の罪で服役していた催眠術師を
事件の捜査のために仮釈放させる。しかし、その刑事もまた
催眠術に掛かり罪を犯してしまう。
自分自身が追われる身となった刑事と、彼に援助の手を差し
伸べる仮釈放中の催眠術師。催眠術師は果たして事件解決の
糸口なのか、二人の虚々実々の心理戦が始まる。
クンフーを中心にアクション映画の一時代を築いた香港映画
だが、その香港映画が開発したワイアーワークは、逆に訓練
を積んでいないハリウッドスターでも華麗なアクションが可
能なことを証明してしまい、結局自らの首を絞めてしまった
感がある。
そんな香港アクション映画がようやく復調してきたというこ
とだが、確かに本作で描かれるアクションは、ある意味で原
点に戻った感じもする。スタントシーンには、当然安全策は
講じられているのだろうが、何というか生身のアクションと
いう感じがした。
ただし本作は、話をちょっと捻り過ぎて、かえって散漫にな
ってしまった感じもする。その辺のバランス感覚を磨き直し
て、往年の香港映画の輝きを取り戻すことを期待したい。
『トスカーナの休日』“Under the Tuscan Sun”
夫に裏切られて離婚した女性ライターが、傷心旅行先のイタ
リアで一軒の家を衝動買いしてしまったことから始まる人間
ドラマ。果たして彼女は、その家に賭けた自らの思いを遂げ
ることが出来るのか。
原作は、実際にトスカーナに家を購入したアメリカ人作家の
回想録ということだが、実はこの原作には映画化できるよう
なドラマはなかったそうだ。
そこにドラマを構築したのは、監督も手掛けたオードリー・
ウェルズ。1997年に公開された『ジャングル・ジョージ』の
共同脚本家の一人でもある彼女は、本作の脚色では原作には
ない人物を主人公にして、見事なドラマを作り上げている。
なお彼女は、『Shall we ダンス?』のハリウッドリメイク
の脚本も手掛けているということで、リチャード・ギア、ジ
ェニファー・ロペス共演で、この秋全米公開される作品も楽
しみになってきた。
お話は、家を購入するまでの経緯や購入した家の改修工事の
顛末、そしてそれを取り巻く人間模様で、敢えてここに書く
ようなものではないが、そのドラマの展開が実に巧く、また
そこで語られるいろいろなエピソードが素敵なものだった。
さらにトスカーナ地方の風景の美しさ。風光明媚という言葉
がピッタリのこんな場所に素敵な家を見つけたら、僕だって
衝動買いしてしまうかも知れない。実際には無理でも、そん
な夢を見る気持ちにさせてくれる作品だった。
『カーサ・エスペランサ〜赤ちゃんたちの家〜』
“Casa de los babys”
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05月14日(金)
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