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On the Production
by 井口健二
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■第61回
名を連ねるギレス・アロンドウは、ローゼンマンの計画のプ
ロダクションデザイナーだったという。
 つまり、単純に考えてこの競作は、ローゼンマンの計画が
分裂したということのようだが、ここでケネディの役割を考
えると、彼女が執筆した第1稿ではヨハンセンの気に入る物
語の展開だったものが、その後の脚本ではヨハンセンの意に
沿わなかったということは大いに有り得そうだ。
 通常この手の競作では、まず企画の合体が検討されるもの
だが、今回の経緯ではその可能性は低くなりそうだ。しかし
この題材で2作品は共倒れになる恐れも高く、この際は、先
に手を挙げてライオンズ・ゲイトの製作も決ったヨハンセン
の計画がこのまま実現に漕ぎ着け、他方ローゼンマンの計画
は、ちょっと難しい事態のようにも感じるが、一体どうなる
ことだろうか。よりを戻すというのも一手なのだが。
 因に、『アレキサンダー』映画の競作では、オリバー・ス
トーン監督の“Alexander”はすでに撮影も完了して今年11
月5日の全米公開が発表されているが、バズ・ラーマン監督
の“Alexander the Great”は、未だに撮影の目途も立って
いない状態で、ストーンの勝ちはほぼ決りのようだ。しかし
ラーマン監督の計画を進めている製作者のディノ・デ・ラウ
レンティスはまだ諦めてないと発言しており、1年くらい先
の公開を目指すということだが、さてどうなるだろうか。
        *         *
 ついでに後2件、競作の話題を紹介しておこう。
 まずは、2003年7月1日付の第42回で紹介した歌手ジャニ
ス・ジョプリンの伝記映画で、パラマウントがルネ・ゼルウ
ィガー主演で進めている“Piece of My Heart”の計画に対
抗して、“The Gospel According to Janis”の計画が復活
してきた。
 この競作問題では、前回の報告のときには、ゼルウィガー
の主演が決定してパラマウントでの映画化が一気に進むかと
思われたものだが、実はこの企画では、ゼルウィガーが同郷
のジャニス役を演じることを熱望していて、パラマウントが
その熱意に動かされているという面はあったようだ。
 そしてこの計画では、その後の進展が見られず、現状では
アン・メレディスの脚本は完成しているものの、監督も決定
されていない。また前回は、パラマウントがジャニスの歌声
の独占使用権を獲得していて、歌唱シーンはすべてジャニス
本人の声で吹き替えるという企画も注目を集めたものだが、
その後その独占使用権も解除されてしまったようだ。
 これに対して、復活してきた“The Gospel…”は、元々は
ジョプリンの遺族が参加した企画で、言わば本家本元の企画
と言えるもの、そして今回はこの計画に、歌手ピンクとして
も知られるアリシア・ムーアの主演が発表された。つまりこ
の企画では、歌唱シーンは歌手であるムーアが自分で歌うと
いうもので、しかもこのムーアが生前のジャニスと同じレコ
ード会社に所属しているために、ジャニスの楽曲の使用権も
要望すれば与えられるという状況になっているようだ。
 またこの計画では、脚本監督をペネロピー・スフィーリア
が担当、すでに監督はムーアを起用した歌唱シーンを含むス
クリーンテストも行っており、その結果は、監督の映画キャ
リアの中でも最高の出来だったということだ。また、ムーア
が年齢的にも、ジャニスが19歳でロサンゼルスに来てから27
歳で亡くなるまでを描くにはベストの時ということで、製作
資金が集まりしだい撮影を開始したい意向のようだ。
 なお、スフィーリア監督は発言の中で、2つの企画は内容
的にかなり隔たりがあり、両方作られても問題はないとして
いるようだが、こちらも2本をヒットさせるほどの力がある
ようには思えず、どちらかが先行すれば他方は難しくなりそ
うで、この決着どうなることか気になるところだ。
        *         *
 もう1本は、ちょっと競作と言って良いものかどうか判ら
ないが、『エクソシスト』の前日譚を描く“Exorcist: The

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04月15日(木)
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