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On the Production
by 井口健二
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■ヘブン・アンド・アース、恋する幼虫、悪霊喰、ブラザー・ベア、ハンター、ソニー、ギャザリング、ドッグヴィル
えてセオリー外しをしたと言いたいかも知れないが、その域
に達してはいない。いろいろ苦言を呈したが、次回作も見た
いという気持ちは持った。               
                           
『悪霊喰』“The Sin Eater”              
最初に、配給会社の資料でこの映画の原題は“The Order”
となっている。確かに9月にアメリカで公開されたときに題
名も“The Order”だったようだ。しかし試写で上映された
フィルムの記載は“The Sin Eater”となっており、僕はそ
の原題を採用する。                  
原題の意味は、極悪人の罪をも喰ってしまい、罪びとを天国
に導いてしまう能力を指す。映画の中では、ゴルゴダの丘で
十字架に架けられたキリストも、隣に架けられた罪びとの罪
を喰ったと説明される。                
しかし現在のキリスト教では異端の存在であり、それを研究
することも異端とされる。そして主人公は、ニューヨークで
そのSin EaterやExocismなどを研究している司祭。しかし研
究の指導者だった先輩の司祭がローマの研究室で謎の死を遂
げてしまう。                        
主人公は、その調査を法王庁の枢機卿から依頼される。そし
てローマに飛んだ主人公は、現代に生きるSin Eaterの存在
に行き当たる。                    
Sin Eaterという言葉は以前から聞いていたが、その実際の
意味や歴史的な背景などを詳しくは知らなかった。この作品
は、その辺りを判りやすく説明してくれているもので、その
意味では勉強になる作品で興味深かった。        
と言っても、そんなことに興味を持つ人間がどれだけ居るか
ということで、興味がなければおしまいかもしれない。確か
に人間ドラマとしては中途半端なところもあるし、ちょっと
物足りないのだが、僕はそれなりに楽しめた感じだ。   
監督のブライアン・ヘルゲランドは、『ロック・ユー』など
でも知られるが、脚本家として『L.A.コンフィデンシャ
ル』や、最近ではクリント・イーストウッド監督の『ミステ
ィック・リバー』なども手掛けている。         
ただしこれらの作品では、共通して人間が描けていない印象
を持ち、僕は一部の作品では不満も感じている。しかし本作
では、逆に人間関係を排してSin Eaterの存在に迫っている
辺りが好ましく、こういう作品には向いているかも知れない
とも感じた。                     
それから本作では、現地ロケされたローマの風景が美しく、
映画の内容から見て内部の撮影は別なのだろうが、いろいろ
な寺院の映像も美しかった。              
                           
『ブラザー・ベア』“Brother Bear”          
Pixerやジブリではない、ディズニー本体が製作した2003年
度のアニメーション作品。               
舞台は、マンモスが生きている時代。腕力が優先するこの時
代に、シャーマンから愛の象徴のトーテム・熊を与えられた
若者が、そのトーテムに不満を持ったことから始まる人間と
熊の物語。                      
主人公は、自分のトーテムである熊を殺してしまったことか
ら、自然の掟を破った罰として熊に変身させられられてしま
う。そして母熊とはぐれた小熊と巡り会い、母熊を探す旅に
同行することになるのだが…。             
ディズニーのアニメーションでは、『バンビ』を始め野性の
動物を扱った作品にも秀作があったが、1994年の『ライオン
・キング』以来、ここ10年間は作られていなかったというこ
とだ。                        
と言ってもこの作品は、野生動物というよりは人間が主人公
のファンタシーの趣が強く、その意味では、動物を無理に擬

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12月31日(水)
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