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On the Production
by 井口健二
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■ラブ・アクチュア、タイムライン、デッドロック、ショコラーデ、レジェンド・オブ・メキシコ、N.Y.式ハッピー・セラピー、牙吉、コール
しく思えた。
『デッドロック』“Undisputed”
監獄で行われるボクシング試合を題材にしたウォルター・ヒ
ル監督作品。
主人公は10年間67戦無敗の監獄ボクシングのチャンピオン。
彼のいる同じ監獄に、現役の世界ヘヴィー級チャンピオンが
収監されてくる。世界チャンピオンは有名であることを盾に
所長を手懐け、監獄を我が物にしようとするが…。果たして
真のチャンピオンはどちらなのか。
このお話を、監獄チャンピオンに『ブレイド』のウェズリー
・スナイプス、世界チャンピオンを『コン・エアー』のヴィ
ング・レエム、その他、ピーター・フォーク、ウェス・ステ
ューディなどを脇に据えて描くのだから、さすがヒル監督と
いう感じの作品だ。
しかも、脱税で収監された元プロモーターという役柄のフォ
ークが、ボクシングの歴史を語り続け、それに実際の試合の
記録フィルムが挿入されるという念の入れようで、ファンが
見たらたまらない作品ということになりそうだ。
まあ物語は、ご想像の通りスナイプスとレエムの壮絶な試合
へと向かうのだが、これが当然フェイクではあるものの、逆
に充分に演出された作品という感じで、巧い展開になってい
た。この辺もさすがウォルター・ヒルというところだろう。
なお、スナイプスが髭を落とし、冷静沈着な監獄チャンピオ
ンという、『ブレイド』とは全く違った演技を見せているの
も見物だった。
『ショコラーデ』“Meschugge”
世界大戦の終戦から60年近く経って、いまだに癒えていない
傷跡を描いたドイツ映画。
ユダヤ人一家の経営するチョコレート工場がネオナチに襲撃
され放火される。その事件を切っ掛けに、ナチスの迫害を逃
れてアメリカに渡ったユダヤ人女性が自分の家族の消息を知
ろうとするが、それは戦後60年間隠されていた重大な秘密を
暴いてしまう。
実際にこのような話があったのかどうかは解からないが、実
に巧くできたお話で、本当にあってもおかしくないような感
じがした。それにしてもドイツは、いまだにこのような贖罪
の物語を描き続けている訳で、その辺の国民性には頭が下が
る。
製作は、以前に『ネレ&キャプテン』を紹介したXフィルム
ス。先の作品は東西分裂ドイツの問題を描いていたが、今度
はナチスに関わる問題で、一つの国でこんなにもいろいろな
問題を解決しなければならないということにも、今更ながら
ショックを受けた。
もちろんドイツにだって、アウシュヴィッツはなかったと主
張している連中はいるようだが、その類のことを記者会見で
平然と公言してはばからない政治家がいないだけ、国民性が
真摯だということだろう。
すでに戦争があったのかどうかさえも解からないような日本
人との感覚の違いには、まるで異次元に迷い込んだような感
覚さえした。
『レジェンド・オブ・メキシコ』
“Once Upon a Time in Mexico”
『スパイキッズ』のロベルト・ロドリゲス監督が1993年に発
表したデビュー作『エル・マリアッチ』から数えればシリー
ズ第3作、ただし2作目の『デスぺラード』は第1作のリメ
イクということになっているから、その意味では第2作とな
るアクション映画。
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12月02日(火)
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