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On the Production
by 井口健二
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■東京ゴッドファーザーズ、ロイヤル・セブンティーン、かげろう、チャーリーと14人のキッズ、1980、ピニェロ、リクルート
第2次大戦を描いた映画製作が盛んになったということだ。
その中で『戦場のピアニスト』のような作品も生まれている
訳だが、戦場以外にも戦争に翻弄された人々はいた。このド
ラマは戦争が無ければ起こらない物語。原作は実話に基づい
ているそうだが、21世紀になって、いよいよ、こういう物語
が語られ始めることになりそうだ。
『チャーリーと14人のキッズ』“Daddy Day Care”
エディ・マーフィ主演で、アメリカでは1億ドル突破の大ヒ
ットを記録したコメディ。
エリートサラリーマンがリストラされ、妻に替って子供の面
倒を見る内に、町の保育園不足に気づく。そこで自宅を使っ
て男性保育士だけの保育園を開設。それは大成功するが、ラ
イヴァルのエリート教育が売りものの保育園と対立すること
になり…。
男性の育児参加というのは世界的な傾向なのだろうが、それ
を見事に映画の題材にした作品。男の育児というと、『スリ
ーメン&ベイビー』など先行作も無い訳ではないが、男が率
先して育児を始めるというのは、さすがにようやく作られた
というところだろう。
ということで、自分もそれなりに育児に参加したつもりの僕
としては、1時間32分のこの映画は文句無く楽しめた。
とは言うものの、この映画の場合は、出演している子供たち
のキャラクターのユニークさが、男の育児というメインテー
マを押し退けるくらいに面白い。子供には皆個性があるとい
うサブテーマも見事に描かれている感じだ。
それに加えて楽しめるのが、『スター・トレック』ネタのギ
ャグのオンパレード。
何しろ、保育されている子供の1人がトレッキーという設定
で、クリンゴン語しか喋らない。一方、大人の1人も初期の
ユニフォームで登場するようなトレッキーで、この2人の間
でクリンゴン語の会話が成立してしまう。この部分は丁寧に
字幕まで出る。
この他にも、『スタ・トレ』の決まり文句のファイナル・フ
ロンティアが本当に出てきたり…、人気もここに極まったと
いう感じがした。因に本作は、UIPの配給ではあるが、パ
ラマウントの製作ではない。
それから、アンジェリカ・ヒューストン扮するライヴァル保
育園々長の助手を演じるレイシー・シェバートという女優が
ちょっと気になったので調べてみたら、98年製作の『ロスト
・イン・スペース』のペニー・ロビンスン役で映画デビュー
とあった。だからどうという訳ではないが、『スタ・トレ』
ネタも含めてSF映画ファンにもアピールしたい作品と言え
そうだ。
『1980』
舞台演出やCDプロデュースなどで知られるケラリーノ・サ
ンドロヴィッチ(日本人)の初映画監督作品。
題名の通り1980年を背景に、3人姉妹のグラフィティが展開
する。この3人姉妹を犬山イヌコ、ともさかりえ、蒼井優が
演じ、他に及川光愽、田口トモロウらが脇を固める。
ノスタルジアを感じさせる年代を背景にした作品で、いろい
ろな当時を思い起こさせる出来事やアイテムがちりばめられ
ているから、その時代を生きた人間にとっては面白く見るこ
とができるだろう。
2時間3分という上映時間はちょっと長いが、全体的にはテ
ンポもよく、退屈するようなことはなかった。特に、女優3
人がそれぞれ個性豊かに30代、20代、10代を演じてくれるの
には、かなり楽しめた。
ただ、3人の物語が付かず離れず平行して進むのは良いのだ
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10月03日(金)
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