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On the Production
by 井口健二
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■東京国際映画祭(前)
脚本はちょっと回りくどいところもあるが、日本映画にして
はどろどろしたところや、嫌みな感じもなく、良くできた作
品だと思う。                     
この題名を見るとどうしてもマイク・ニコルズの名作が思い
浮かぶ。映画の後半でよく似たシーンが登場するのは、たぶ
ん意図してのことだろう。それもまた巧みに感じられた。 
                           
『バーグラーズ 最後の賭け』(ドイツ)“Sass”    
1920年代に実在した銀行強盗ザス兄弟を描いた歴史ドラマ。
兄弟はベルリンで自動車の修理工場を営業していたが、厳し
い税金の取り立てに怒り、税務署を襲って現金を盗み出す。
それはガスバーナーで金庫を破るという最新の手口で、その
素早い犯行は警察の手配も間に合わない。        
そして証拠も全く残さないために、警察は彼らの仕業と決め
つけるのだが、逮捕には踏み切れない。そんな彼らに民衆も
味方し、ナチス台頭が暗い影を落とす中で人々のヒーローと
なって行く。                     
ニュースリールの挿入などもあるが、当時の風俗を再現した
シーンは、すばらしく見応えもあった。徐々に忍び寄るナチ
スの陰などもはっきりと描かれ、ネオナチの台頭という最近
のドイツの国情に照らしても、今描くべき作品だったのだろ
う。                         
                           
『希望の大地』(南アフリカ)“Promised Land”     
アパルトヘイト脱却後の郊外の白人コミュニティーを背景に
したサイコ・スリラー。                
主人公は、25年前に両親と共にイギリスに渡った青年。30代
になり、母親が死んだことをきっかけに南アフリカの故郷の
牧場を訪れる。その牧場は水脈の上にあり、叔父が管理して
いるはずだったのだが。                
来る早々道に迷った主人公は、とある農場の家に泊めてもら
うのだが、その一家は彼の両親や叔父のことは覚えているも
のの、詳しい状況を語ろうとしない。しかも25年前は肥沃だ
ったはずの土地は、旱魃で不毛の地になろうとしていた。 
南アフリカでは、アパルトヘイト脱却後、白人の農場を政府
が買い上げ、黒人に売り渡す政策が行われたようだ。しかし
そんな政策を白人の農場主たちが容認するはずはなく、政府
の政策に賛成した一部の白人は疎外され、かえって白人至上
主義を煽る結果になった。               
そんな背景を踏まえての作品で、不毛の地に暮らす白人コミ
ュニティーの、何とも持って行き場のない不満や焦りが、よ
そ者である主人公に向けられて行く。          
最初は社会派ドラマかと思って見始めたが、たぶんフィクシ
ョンを強調するために、サイコ・スリラーの描き方になって
いる。しかし現実はどうなのだろうか、という辺りでかなり
強いアピールになっている感じがした。         
なお撮影は、『エピソード2』などのディジタルヴィデオシ
ステム・シネアルタで行われている。          
                           
『藍色大門』(台湾)“藍色大門”           
台北の高校に通う17歳の男女を描いた青春ドラマ。    
主人公の女子生徒は、女友達に頼まれて夜のプールで泳ぐ男
子生徒に声を掛ける。しかしシャイな女友達は姿を消し、男
子生徒は主人公自身が自分に曳かれているのだと思い込んで
しまう。そして主人公は板挟みになり…。        
監督はテレビやコマーシャルフィルムなどで高校生ものに実
績のある人だそうで、ティーチインでは「物語はオリジナル
だが、その長年のリサーチが活かされているのではないか」
と語っていた。                    
主人公と男子生徒の役には、実際に台北の渋谷みたいなとこ

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10月31日(木)
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