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On the Production
by 井口健二
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■サイン、8人の女たち、ドールズ、トリプルX、スパイキッズ2、記憶のはばたき、ダウン
苦しむことになりそうだ。
映画は、3つの物語が錯綜するちょっと変形のオムニバス形
式になっている。
その一つ目は、近松の「冥土の飛脚」を下敷きにして、婚約
者を捨てて社長令嬢との結婚に走った男と、それを聞いて自
殺未遂の末に精神に異常をきたした女が、互いを赤い紐で結
び合わせて四季の中を彷徨う姿を描いている。これはかなり
前衛芸術映画風だ。
これに、事故で顔面に傷を負って引退したアイドルと、自ら
眼を潰し相手の顔が見えないようにして彼女に会いに行く男
の物語。それにやくざの親分になった男と、毎週土曜日に一
緒に弁当を食べた彼を待ち続ける女の物語を絡ませる。
3つの物語は、どれも壮絶な愛の物語で、それはそれで良い
のだが、最初の前衛映画風の部分に比べると、他の2つの物
語がかなりシンプルで、そのギャップが何とも不思議な感覚
になる。多分狙いなのだろう。しかしこの構成自体は過去に
あるような気がする。
今までの北野作品は、僕の見た範囲では常に暴力の匂いがつ
きまとって、僕にはそれが苦痛だった。それはヴェネチアで
受賞した『HANABI』にしても、『菊次郎の夏』にして
も同じで、明らかにそういうシーンが続くであろう前作は、
僕は見に行かなかった。
しかし本作では、皆無ではないが、今までのように、ただ描
写のためだけの殴り合いというようなシーンはない。多分そ
ういうシーンに頼らなくて良いという監督の自信の現れだと
思うが、それを僕自身は好ましく感じた。
ただし前衛映画風の部分は、多分北野なりの芸術映画を目指
したのだと思うのだが、四季を写した画面はただ美しいだけ
で芸術にまでは至っていない。簡単に言ってしまえば、自然
の美しさと山本耀司が担当した衣装の凄さに明らかに負けて
しまっている。
他の物語の部分では、映像や音声にいろいろ工夫の凝らされ
たシーンもあって、それはそれなりに楽しめたのだから、肝
心の前衛映画風の部分でもっと何かやっても良かったのでは
ないかと感じた。
『トリプルX』“XXX”
『ワイルド・スピード』のヴィン・ディーゼル主演、ロブ・
コーエン監督によるアクション作品。ディーゼルは本作の製
作総指揮も務めている。
このホームページで最初に取り上げた話題がディーゼルのこ
とだったから、何となく愛着を感じる俳優だが、本作は2作
連続での同じ監督の作品ということで、息が合っているとい
うか、前作のイメージをうまく引き継いでキャラクターを作
っている。
今回の主人公はX−スポーツ、つまり過激な裏スポーツの達
人ということで、主人公の最初の登場シーンは、保守派議員
の車を盗んでカーチェイスの末に車ごと橋からダイヴ、その
ままベースジャンプの要領で逃走するというもの。
つまり前作のストリートレーサーのイメージからうまく本作
につながるという仕組みだ。しかもその模様をヴィデオ撮影
し、ネットで販売するというしたたかぶりが本作の主人公の
キャラクターという訳で、若者狙いという線ははっきりして
いる。
この主人公が、冷戦崩壊後、まともなスパイだけでは任務が
果たせないと悟ったアメリカ国家安全保障局の、毒には毒を
という戦略の下、カリフォルニア州の三振法の適用から免れ
ることと引き換えにスパイのテストを受けることになる。
そして主人公は合格し、チェコのプラハでアナーキー99と自
称する悪たちの様子を探る任務に着くのだが、その任務はそ
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09月02日(月)
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