ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460442hit]
■スクービー…、ブレッド&ローズ、ジョンQ、阿弥陀堂だより、アバウト・ア・ボーイ、13ゴースト、スチュアート・リトル2、タイムマシン
手解きを始めるが…。
ローチは、社会の底辺で生きる人たちを描いて多くの秀作を
発表しているが、本作では、メキシコからの不法移民を主人
公に、ジャニターと呼ばれるほとんどが不法滞在者からなる
ビル清掃員の生活の実態が描かれている。
しかも組合活動や、会社からの制裁、そして裏切りなど、か
なり重たいテーマなのだが、そこに多くのユーモアや感動の
シーンを入れることで、秀作と呼ぶにふさわしい作品になっ
ている。見終って本当に上手いとしか言いようがなかった。
僕自身、ハリウッドを抱えるロサンゼルスは大好きな街で、
不法移民の問題もいろいろな映画などで見聞きしているが、
この問題をこんな風に温かく優しく描けるのは、ローチ監督
の素晴らしさだろう。
因に題名は、1912年にマサチューセッツ州で起きた1万人の
移民労働者、特に低所得の女性たちによる労働争議の時に掲
げられたスローガンの‘We want bread but roses too’
に由来している。バラは生きて行くための尊厳と夢の象徴だ
そうだ。
『ジョンQ』“John Q.”
今年のアカデミー賞で、アフリカ系の俳優としては38年ぶり
に主演男優賞を獲得したデンゼル・ワシントンが主演し、ア
メリカでは今年の2月、ちょうどその本投票の行われていた
時期に公開されて、受賞の後押しになったのではないかと言
われた作品。
主人公のジョンQは製鋼所で働いて17年間、しかしリストラ
のために半日労働のパートタイマーとされて賃金は減り、普
段の生活もままならない。そんな主人公の一人息子が心臓疾
患で倒れ、生き続けるためには心臓移植しか手段がないと宣
告される。
ところが会社が加入していた健康保険は、経費節減のために
保障内容が変更され、家族への適用条項が削除されていた。
このため心臓移植を受けるには、25万ドルの現金が必要とさ
れ、しかも前金で7万5000ドルを用意しなければならなかっ
た。
この事態に、父親はマスコミにまで協力を求めて資金集めに
奔走するが、金は集まらない。そして心臓移植の権威が在籍
する病院から退去が要求された日、遂にジョンQは最後の手
段に出る。移植の権威の医師を人質に病院の救急病棟に立て
こもったのだ。
映画はプロローグで衝撃的な交通事故から始まる。従って物
語の結末はもう見えているのだが、そこからの話の展開が上
手い。いったんそれを忘れらせてしまう、演出力、演技力、
そして構成の上手さの勝利だろう。
ワシントンは、受賞作とは打って変って見るからに善良そう
な父親役で、その父親が一人息子のために採る行動は、もし
自分がその立場だったらやってしまうのではないか、と思う
ほど迫るものがあった。
警察の対応や病院側の葛藤など、もう少し描いても良いよう
な気もするが、主人公の行動をはっきりさせるためには余分
の部分だったのだろう。
エピローグの本物のニュースショウのコメンテーターたちが
意見を述べるシーンで、1月に急逝したテッド・デミの姿が
あるが、宣伝には使われないようだ。。
『阿弥陀堂だより』
元黒澤明監督の助監督だった小泉堯史監督の第2作。前作は
黒澤監督の遺稿を映画化した『雨あがる』だったが、今回は
南木佳士の原作を自らの脚色で映画化した。
主人公は、売れない作家と女医の夫妻。妻は東京で最先端の
[5]続きを読む
07月16日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る